若い女性に多くみられ、四肢、特に下肢に紫色の出血斑が現れる疾患
単純性紫斑(しはん)とは、しこりのない点状の出血斑である紫斑が四肢、特に下肢の皮膚表面に好発する疾患。単純性紫斑病とも呼ばれます。
20歳代の女性に多くみられ、過労や生理の時に悪化しやすい傾向と、春、秋に多い傾向があります。紫斑ができやすい人が家族にいる場合もあり、遺伝的傾向が高いようです。
原因は不明で、血液検査をしても異常を認めませんが、毛細血管壁の弱さが関係するものと考えられています。毛細血管の抵抗力が弱り、血管の透過性が高まってしまうために、血液が血管から漏れ出して、皮下出血を起こすのです。
また、特定の物質に対するアレルギー反応が原因ともいわれています。アレルギー性紫斑病(血管性紫斑病、アナフィラクトイド紫斑病)の軽症型とみることもあるようです。
症状としては、下腿の皮膚の表面に粟(あわ)粒から米粒大の点状の紫斑が多数散在して現れ、時に色素の沈着を残します。膨らみのない平らな紫斑は臀部(でんぶ)、太ももなどの柔らかい部分に現れることが多く、時には上腕に現れます。紫斑が全身に現れることはなく、紫斑のほかには症状が現れることもありません。合併症もありません。本人には、下肢をぶつけたような記憶がないのが普通です。
激しいスポーツなどは控えて、なるべく安静にしていれば、紫色の出血斑は褐色、黄色に変わって消えていきます。数週間でよくなる予後のよいもので、それほど深刻な疾患ではないのですが、再発しやすいことに注意が必要です。
また、紫斑は血管や血小板の異常など重い疾患の前触れのこともあり、医療機関で検査をしてみないと、心配のいらないものか、治療の必要があるものかわかりません。従って、しばしば紫斑ができるようなら、アレルギー性紫斑病や軽症の特発性血小板減少性紫斑病など他の紫斑病との鑑別のため、早めに皮膚科、ないし皮膚泌尿器科を受診するのが好ましいでしょう。
単純性紫斑の検査と診断と治療
血液検査をしても異常は認められず、血小板数、出血時間、プロトロンビン時間(止血作用を行う凝固因子の働きを測定する検査)などの出血性素因の検査は正常です。皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師は目で見て診断しますが、腎(じん)炎の発症の可能性があるアレルギー性紫斑病、血液に異常のある特発性血小板減少性紫斑病などほかの紫斑病と区別する必要があります。
治療においては、なるべく安静し、激しいスポーツなどは控えるようにします。時に血管強化薬として、ビタミンC剤を内服することがあります。数週間で自然に消えてなくなり、予後のよい疾患ですが、再発しやすいので注意が必要です。
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