鼻の入り口、鼻毛の生えている部分に湿疹ができた状態
鼻前庭湿疹(びぜんていしっしん)とは、鼻の穴の入り口付近の鼻前庭と呼ばれる部位に、湿疹ができ、かゆみが出る状態。乾燥性前鼻炎とも呼ばれます。
鼻前庭は鼻毛が生えている部位で、不衛生な指先で鼻の穴をほじったり、鼻毛を抜いたり、鼻毛を必要以上にカットすることで鼻前庭の皮膚に傷が付くことが原因となって、炎症が生じ鼻前庭湿疹を起こすことがあります。
また、いわゆる蓄膿(ちくのう)症と呼ばれる慢性副鼻腔(ふくびくう)炎や、急性および慢性の鼻炎、アレルギー性鼻炎などが原因となって、鼻前庭湿疹を起こすことがあります。慢性副鼻腔炎や鼻炎では、常に鼻水や分泌物が出ていることがあり、鼻前庭は絶えず刺激され、湿っています。不快感から鼻をこすったり、鼻をかんだりする機会も増えます。そうした刺激によって、皮膚に赤いただれが生じて、鼻前庭湿疹を起こすことになります。
鼻前庭湿疹を起こすと、かゆみや刺激を感じ、チクチクする痛みを伴うこともあります。皮膚が乾いて、かさぶたができることもあり、余計にかゆみを感じます。
症状が進むと、鼻前庭の後ろに続く鼻中隔粘膜にも湿疹が及んで、潰瘍(かいよう)ができ、鼻血が出ることもあります。湿疹を起こした部位に、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などの細菌が感染すると、さらに重い症状を引き起こすこともあります。
鼻前庭湿疹は、刺激すると余計に症状が悪化します。鼻をこすったり、いじったりする癖のある子供は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、鼻の疾患がないかどうか診察してもらうことが勧められます。
鼻前庭湿疹の検査と診断と治療
耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼻鏡で鼻の粘膜の状態を観察することで、おおかた確定できます。
耳鼻咽喉科の医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)と抗生剤(抗生物質)が入った軟こうを患部に塗ります。一日に2~3回、風呂(ふろ)上がりや朝の起床時などに塗るようにします。
鼻水が止まらない症状が出ている時は、同時に鼻炎を治療する薬を服用します。
治療中は患部にできるだけ触れないようにすると、湿疹を早く治すことができます。どうしても鼻をいじってしまう子供の場合は、爪(つめ)を清潔にして、薄手の手袋をはめ、鼻をいじられなくすることもあります。
再発予防のためには、鼻前庭湿疹の原因となる鼻の疾患に対する治療も行います。
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