急激に悪化し、腎不全、心不全などを起こして生命にかかわる重症の高血圧
高血圧緊張症とは、本態性高血圧などから急激に悪化し、合併症を併発して生命にかかわる重症の高血圧。悪性高血圧、悪性高血圧症ともいいます。
高血圧は慢性の経過をたどる疾患で、合併症を起こすにしても、10年、20年といいう月日がかかるのが一般的です。ところが、高血圧緊張症では2~3年のうちに、生命にかかわる腎(じん)不全、心不全、眼底出血、昏睡(こんすい)などの合併症を起こす場合があります。比較的若い30歳~50歳代の人に多くみられるのが特徴ですが、全体の高血圧の1パーセント未満にしかみられないまれな疾患とされます。
厚労省の研究班が作成した診断基準では、最低血圧が130mmHg以上あること、眼底検査で著しい出血や動脈硬化がみられ、眼底にある視神経の乳頭にうっ血がみられること、腎機能障害が急速に進み腎不全を示すこと、頭痛、嘔吐(おうと)、昏睡などの脳圧高進症状や心不全を伴うことが多い、などが高血圧緊張症の特徴です。
高血圧緊張症による腎機能障害では、急激な血圧の上昇によって血管が傷付き血栓ができてしまうことで、狭まった血管に血液の流れをよくしようと働き、さらに血圧を上昇させる悪循環が生じていきます。
高血圧緊張症が進まないうちに適切な降圧治療を行わないでいると、失明したり生命にかかわるほど悪化する場合があるので、早期発見、早期治療が必要となってきます
高血圧緊張症の検査と診断と治療
内科や循環器科の医師による診断では、眼底に蛋白(たんぱく)尿性網膜炎が見られる場合、つまり、眼底所見の第4度高血圧を高血圧緊張症と確定します。
内科や循環器科の医師による治療は、複数の強力な血管拡張剤を使用して血圧を下げます。その後は、腎硬化症の程度に準じて治療します。
昔は予後が悪く、1年か長くても2年で多くの人が死亡していましたが、現在では降圧剤療法によって第2度高血圧症程度に転化させられるようになり、予後は大変よくなりました。
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