思春期前後になってから肩などに生じる褐色調のあざで、発毛を伴うことも
遅発性扁平母斑(へんぺいぼはん)とは、思春期前後になってから、肩や胸などに生じる比較的大きな褐色調のあざ。 ベッカー母斑とも呼ばれます。
いわゆる茶あざの一種で、先天的もしくは後天的に、顔面および四肢、体幹の体表面に生じる淡褐色から褐色の平らなあざである扁平母斑に類似しており、色素細胞の機能高進により、表皮基底層でメラニン色素が増加するために、遅発性扁平母斑が生じます。
多くは、体の片側に10~20セント前後の大きさで出現します。周囲の正常な皮膚との境界がはっきりしており、表面はザラザラとしています。好発部位は、肩、胸、背中、上腕など体幹と四肢の境界部。
女性よりもやや男性に多く、過半数に少し濃い発毛を伴うという点が特徴といえます。あざの部分に、髪の毛くらいの太さの毛が密に生えることもあります。皮膚から盛り上がることはありません。
発毛を伴う場合は、毛包という毛を包んでいる組織に、メラニン色素を作る色素細胞も入っています。
海水浴や強い日光にさらされた後などに、遅発性扁平母斑が現れることもあります。通常、悪性化することはありません。
遅発性扁平母斑は、多少の色の変化はありますが、自然に消えるあざではありません。色が淡褐色で、肌と違和感が少ないため気にならなければ、強いて治療する必要はありません。気になる場合は、皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科を受診することが勧められます。
遅発性扁平母斑の検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による診断は、特徴的な母斑なので、ほとんどは見ただけでつきます。
皮膚科、皮膚泌尿器科、形成外科の医師による治療は、医療レーザーによる治療が第一選択とされます。レーザー治療の長所は、治療を行った部位に傷跡ができにくいことです。
Qスイッチルビーレーザー、Qスイッチヤグレーザー、炭酸ガスレーザーなどを照射すると、メラニン色素に選択的に吸収され、多くのケースで遅発性扁平母斑(ベッカー母斑)が消失したり軽快します。
有毛性の遅発性扁平母斑では、レーザー治療の前に脱毛するなどの処理できれいにすることが、重要になります。
有毛性の遅発性扁平母斑に対して、脱毛処理を行わずにレーザー治療を行うと、最初は周囲の正常な皮膚と同じ肌色になりますが、時間が経つにつれて、ポツンポツンと毛穴に一致して色素沈着が出てきます。毛包の中のメラニン色素を作る色素細胞が、過剰に反応してしまうためです。
医療機関によっては、剛毛が生えていたり、多毛である際には、Qスイッチヤグレーザーなどと医療脱毛用のレーザーを併用することもあります。
レーザー治療が無効で遅発性扁平母斑が再発する場合には、ドライアイスや液体窒素を使用した治療や、グラインダーで皮膚を削る皮膚剥削(はくさく)術という手術、植皮術などが行われます。傷跡を残すことがあるので、第一選択ではありません。
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