声の乱用で、声帯のふちに結節やポリープが発生
声帯結節とは、声帯のふちに小さな、いぼのような突起ができるもの。声帯ポリープとは、声帯結節が大きくなって、キノコ状になったもの。
声帯結節は、両側の声帯のふち、それも前3分の1くらいにできます。この声帯結節はまた、歌を歌う人にできやすいため、謡人(ようじん)結節とも呼ばれています。声帯ポリープも、声帯の前3分の1にできることが多く、通常片側に発生します。ポリープの大きさはさまざまで、まれに両側の声帯にできることもあります。ポリープができると、発声時の声帯の強い振動で、ポリープの中に出血することがあります。
また、声帯全体がぶよぶよに、カエルの水かきのようにはれることもあります。これをポリープ様声帯と呼んでいます。さらに、声帯のすぐ上に喉頭(こうとう)室というくぼみがありますが、その粘膜がぶよぶよとはれ、声帯ポリープのように飛び出してくることがあります。これを喉頭室脱出症と呼んでいます。
声帯ポリープなどの原因は慢性喉頭炎と同じように、声の使いすぎにあるといわれていますが、不明な点もたくさんあります。カラオケ、怒鳴り声、演説などの一過性の急激な発声が誘因となり、声帯粘膜の血管が破れて内出血を起こし、ポリープなどを形成するという説が有力です。
声がれ、すなわち嗄声(させい)が声帯ポリープ、声帯結節、ポリープ様声帯、喉頭室脱出症ともの主症状ですが、のどの違和感や発声時の違和感などの症状を示すこともあります。突起が大きくなると、息苦しさなどの呼吸困難を起こすようになります。
声帯ポリープ、声帯結節の検査と診断と治療
疾患の症状に気付いたら、声をなるべく使わないようにして、のどの安静を心掛けます。それでも2週間で改善しなければ、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診します。
医師による診断は、喉頭に小さな鏡である喉頭鏡を入れたり、鼻からファイバースコープを入れて、声帯を直接観察し、ポリープなどを確認すればすぐつきます。喉頭がんなど他の疾患との鑑別が、必要なこともあります。
治療では、突起がごく小さい場合は、発声を制限し、消炎剤の投与や蒸気吸入、薬剤吸入(ネブライザー)を行います。この治療法以外では、手術が早くて確実です。声帯は狭く、深く、小さいところなので、手術は一般的には入院の上、全身麻酔で顕微鏡下に行い、ぶよぶよの個所を切開したり、切除します。
全身麻酔が不可能な場合や、入院を希望しない場合などは、外来でファイバースコープを用いて摘出することもあります。また、この手術の後には声帯の傷の安静のために、1週間前後の沈黙期間を要します。
声帯ポリープは悪性化はしませんが、まれにポリープのような外観のがんがあるので、摘出されたポリープは病理組織検査で、悪性化の有無をチェックします。
なお、声帯ポリープや声帯結節などは、職業で声帯を酷使しなければならない場合には、再発の可能性があります。
0 件のコメント:
コメントを投稿