性的興奮とは関係なく勃起が起こり、長時間続くもの
持続勃起(ぼっき)症とは、性的興奮とは関係なく勃起が起こり、長時間続くもの。
この持続勃起症には、陰茎海綿体内の血液の戻りが悪く虚血状態になる静脈性持続勃起症と、陰茎海綿体内の動脈が破れ動脈血が常に流入する動脈性持続勃起症とがあります。
静脈性持続勃起症では、陰茎海綿体内の血液の入れ替えができなくなるため、海綿体内の組織が虚血に陥り、発症から6時間で組織が壊死し始めます。海綿体組織が壊死すれば、勃起不全などの性障害を来します。一方、動脈性持続勃起症は、痛みを伴わない軟らかい勃起の場合があり、緊急性はありません。
静脈性持続勃起症は、白血病などの血液の疾患、糖尿病、腫瘍(しゅよう)、炎症、勃起不全の治療として行われている陰茎海綿体内自己注射や、アルコール、麻薬などの常習で起こります。動脈性持続勃起症は、陰茎打撲、特に会陰(えいん)部打撲で多く起こります。しかし、持続勃起症では、原因不明のことが10〜20パーセントぐらいあるのが実際です。
静脈性持続勃起症の症状は、早朝勃起や性的興奮後の勃起が収まらずに、陰茎硬度が完全な勃起状態が長時間続くために痛みを覚え、排尿も困難なことがあります。動脈性持続勃起症の症状は、陰茎の硬度は不完全な状態で痛みを伴いません。
持続勃起症の検査と診断と治療
痛みを伴う硬い勃起が4時間続いたら、すぐに泌尿器科の専門医を受診する必要があります。
医師の診断では、陰茎海綿体内の血液の検査を行います。静脈性持続勃起症では、酸素分圧が低い静脈血に近い状態が見られ、動脈性持続勃起症では、酸素分圧が高い動脈血に近い状態が見られます。動脈性持続勃起症の確定診断には、超音波カラードプラ行われ、動脈血の溢流(いつりゅう)像が見られます。
静脈性持続勃起症は、緊急治療が必要です。陰茎海綿体の中を生理食塩水で洗浄したり、血管収縮剤を注射したりします。血管収縮剤は血圧上昇作用がある薬なので、血圧に注意します。薬物治療で改善しなければ、陰茎にたまった血液を取り除く手術や、陰茎に大量の血液が入り込まなくするような手術が直ちに必要です。
動脈性持続勃起症は、陰茎海綿体内の血液の循環がありますので、緊急治療は必要ありません。血液溢流部位の圧迫、冷却、止血剤、抗男性ホルモン剤の投与などの治療を行います。2カ月たって改善傾向がなければ、血管撮影を行いながら総陰茎動脈の自己凝血塊による塞栓(そくせん)術を行います。自己凝血塊を塞栓物質に使用する理由は、陰茎動脈が修復された後に再開通を期待するためです。
原因のはっきりしているものは、その疾患の治療をしなければなりません。
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