手のひら、足の裏に小さな水疱、膿疱が多数出現
掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症とは、主に手のひらと足の裏に、小さな水疱(すいほう)と膿疱(のうほう)がたくさんできる皮膚病。
足では、土踏まずの部分を中心に、小さな水疱と膿疱がたくさん集まり、これらが破れてできる、かさぶたと落屑(らくせつ)が混ざり、皮膚が赤く、角化します。ひどくなると、ひび割れになります。痛みが強く、かゆみもあります。
一見すると、足の水虫と似ていますが、水虫のほうは足の裏全体に広がってできる傾向にあり、その症状は水疱が主で、かなり大きな水疱になることもあります。掌蹠膿疱症のほうは、土踏まずを中心に集合しており、その症状は小さな膿疱が中心で、あまり大きな水疱にはならず、かゆみも水虫ほどは強くないところが違っています。
しかし実際には、この二つの症状は、外見ではなかなか区別ができにくいケースが多く、水虫を起こす白癬菌がいるかどうか検査しないと、最終的な判断はできません。掌蹠膿疱症の特徴は、膿疱がたくさんあるのに、化膿菌が全く認められない点です。
掌蹠膿疱症は、非常に治りにくく、5年、10年と繰り返してできる人も多くいます。また、かなり多くの人では、胸骨、鎖骨、肋骨(ろっこつ)が一緒になっている胸の関節部に、関節炎があります。
原因は不明ですが、乾癬や扁桃腺(へんとうせん)炎と関係があるのではないかと考えられています。実際、扁桃腺を手術して切除すると、掌蹠膿疱症がうそのように治る場合もあり、扁桃腺についている化膿菌の菌体成分が原因ではないかとの説もあります。
また、歯科で虫歯を治療して金冠を詰めている人にも、この掌蹠膿疱症が多く、金冠を全部抜いてしまうと治る人もいるので、金冠の金属の一部が溶けて血液中に入り、アレルギー反応の結果、膿疱ができるとの考えもあります。 整形外科の金属性人工骨で、アレルギー反応が起こることもあります。
掌蹠膿疱症の検査と診断と治療
原因が不明ですので、対症療法が主になります。
主な治療薬は副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)外用剤で、手のひら、足の裏は角質が厚いために、やや効きが弱いのですが、効果の強い軟こうを根気よく塗ったり、テープに薬剤の染み込んでいるものを張ったりして治療します。
重症の場合には、同じホルモン剤、あるいは抗炎症剤の内服療法を行うこともありますが、長期に渡る場合が多く、副作用の問題もあり、避けたほうが安全とされています。漢方薬の内服療法、中長波紫外線療法を行うこともあります。
根治療法としては、扁桃腺に異常のある場合には耳鼻咽喉(いんこう)科での外科的な扁桃腺摘出、胸骨鎖骨肋骨に炎症のある場合には整形外科でのしかるべき外科的方法、歯科用金属および整形外科の金属性人工骨による場合には樹脂製のものと取り替えることが考えられます。
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