1つの陰茎内に、尿道が2本存在する状態の先天性異常
重複尿道とは、男性の1つの陰茎内に、尿道が2本存在する状態の先天性異常。まれな疾患です。
重複尿道の原因は先天性によるもので、妊娠3カ月までの胎児の時に、尿道が正常に完成しなかったことによって起こります。遺伝とは全く関係はなく、子孫に遺伝するようなことはありません。
この重複尿道には、完全重複尿道、不完全重複尿道、二分(にぶ)尿道、副尿道があります。
完全重複尿道は、膀胱(ぼうこう)から亀頭(きとう)までの全長にわたって、2本の尿道があるものです。異常なほうの尿道は、通常、正常な尿道の上側、すなわち陰茎の背側で、本人から見ると陰茎の表側に位置し、亀頭や陰茎の背側に外尿道口が開いています。尿道括約筋の中を通らないため、尿道が閉まらず、失禁がみられます。
不完全重複尿道は、膀胱から出た2本の尿道が亀頭部の手前で、1本の尿道となるものです。
二分尿道は、膀胱から出た1本の尿道が途中から2本に分かれ、それぞれ外尿道口を持つものです。これらの異常な外尿道口は、陰茎の背腹側、会陰(えいん)部、直腸内にみられます。
副尿道は、2つの外尿道口があるものの、一方は途中で途切れて行き止まりになっているものです。異常なほうの外尿道口は、普通、陰茎の背側にあります。
重複尿道の症状としては、尿が出にくく、出ても尿流が細く、2本に分かれたりします。また、本来は出ないところから尿が出たり、完全に尿を出し切ることができず、排尿が終わっても、尿がしたたり落ちたり、残尿感が現れたりします。
重複尿道の検査と診断と治療
泌尿器科の医師による診断では、CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うことで、ほぼ100パーセント確定できます。
泌尿器科の医師による治療では、症状がなく、または症状が軽くて、日常生活に支障がない場合は、処置を施さずそのまま経過観察します。
症状が重くて尿失禁、尿管閉塞、膀胱尿管逆流などがある場合は、手術によって、異常な尿道を摘出する治療を行います。具体的には、2本ある尿道のうち、尿を我慢する際に使われる筋肉である尿道括約筋に囲まれている正常な尿道を残し、もう一方の異常な尿道を手術で摘出します。
途中で途切れて、行き止まりの盲管になっている副尿道が炎症を起こした場合は、抗生剤や、痛みと炎症を抑える消炎鎮痛剤などを投与します。
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