クラミジア・トラコマーティスという微生物が性器に感染して起こる性感染症
性器クラミジア感染症とは、クラミジア・トラコマーティスという微生物が性器に感染したことが原因となって、発症する性(行為)感染症。今日の性感染症のうち、日本においても、世界においても最も多い疾患で、人々の間で流行しています。
クラミジア・トラコマーティスが性行為により性器に感染した場合が、性器クラミジア感染症に相当し、口を使った性行為により喉(のど)に感染した場合は、咽頭(いんとう)クラミジア感染症と呼ばれます。
性器クラミジア感染症を発症しても、自覚症状はほとんどありません。感染や発症に気が付かないまま進行しますので、検査による早期発見、早期治療が必要になります。
女性の場合は、ほとんど症状はありませんが、下り物が増える、下り物が黄色くなる、出血がみられる、下腹部に痛みがある、排尿時に痛むといった軽度の症状が現れることもあります。
感染したことに気付かず、治療せずにいると、子宮頚管(けいかん)炎を引き起こし、子宮付属器炎、骨盤腹膜炎になり、将来、卵管の通過障害を起こして不妊症、子宮外妊娠になる恐れがあります。
また、妊婦が感染していると、出産時、新生児が産道を通る際に感染します。感染した新生児は、生後2~3週間ころに結膜炎、生後3~4カ月ころに肺炎を発症する危険性があります。
男性の場合も、全く自覚症状がないか、非常に軽い症状にとどまるケースが大半で、性交の1~3週間後に、尿道に軽い炎症を起こし、排尿時に痛む、透明もしくは白いさらさらした分泌液が出るといった症状が現れることもあります。
症状が現れても治療せずにいると、尿道炎、前立腺(ぜんりつせん)炎、精巣上体炎といった疾患になる恐れがあります。
肛門(こうもん)に感染すると、痛みが起こり、黄色い膿(うみ)と粘液の分泌物が出ます。
性器クラミジア感染症の発症が疑われる際は、まず性感染症かどうかの検査が必要ですので、女性なら婦人科、男性なら泌尿器科の専門医を受診することが勧められます。
また、最近では自宅から郵送で検査できるキットが販売され、コンビニエンスストアの端末やインターネットなどから申し込めるので、これを利用してもいいでしょう。ただし、自分で粘液、粘膜、尿、血液などの検体をきちんと採取できていないと、正確に検査結果が表示されないこともあるので注意が必要です。郵送検査で陽性と判明した場合には、婦人科、泌尿器科を受診することが必要になります。
性器クラミジア感染症の検査と診断と治療
婦人科、泌尿器科の医師による診断では、女性では子宮頸管(けんかん)から採取した分泌物による検査、男性では尿道から採取した分泌物による検査を行い、併せて血液検査を行うこともあります。
分泌物による検査では、クラミジア・トラコマーティスが今いるかどうかがわかります。血液検査では、クラミジア・トラコマーティスに感染したかどうか、クラミジアが活動的でほかの人に感染する可能性が高いかどうかがわかります。
婦人科、泌尿器科の医師による治療では、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質(抗生剤、抗菌剤)が有効です。通常は、7~14日間服用します。
症状は数日でなくなることが多いものの、クラミジア・トラコマーティスが完全に死滅していないこともあるので、医師が完治の診断が出すまで指示通り服用する必要があります。
また、性的パートナーの同時治療も大切です。どちら一方が治療をしても、性行為で感染が往復するピンポン感染を来し、いつまでも治らないことがあるからです。
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