成長途上の軟骨がストレスを受け、踵の痛みが起こる疾患
踵骨骨端(しょうこつこったん)症とは、スポーツを行っている8~12歳くらいの男子に多く見られ、運動時や運動後に踵(かかと)の痛みが起こる疾患。シーバー病とも呼ばれています。
成長期には踵の先端部分に骨端核といわれる軟骨があり、踵骨腱(けん)ともいわれるアキレス腱と、足の土踏まずを形成する硬い膜である足底腱膜がついています。このためジャンプやダッシュ、ストップなど強い力が加わるバスケットボールやサッカーなどのスポーツだけではなく、長時間歩いたりした際の靴による圧迫など、微小な外力の繰り返しによっても刺激が加わり、アキレス腱が付着する部分に炎症を起こしやすくなり、痛みやはれ、熱感を伴います。
踵骨骨端症が発生する原因は、骨端核が存在するような年齢の時に繰り返される踵部分でのストレスです。もともと、軟骨成分の多い子供の骨は衝撃にも弱く、腱による強力な牽引(けんいん)力がかかると、軟骨部分では容易に骨がはがれてしまいます。
踵骨骨端症の症状は、踵のやや後下方から足底に近い辺りを押さえた時の痛みや、走ったり階段を上がったりした時の軽い痛み、踵を浮かせて歩くような重い痛みまでさまざまです。重い痛みをかばって爪先(つまさき)歩きになるために、アキレス腱やふくらはぎにも痛みを感じることがあります。
骨端核は15~16歳で踵骨体部と癒合して骨が完成しますので、症状は2~3年で自然に消失してゆきますが、症状を悪化させないためには、早期診断と治療が重要です。心当たりのある場合には、早めに整形外科の専門医の診察を受けるようにします。
医師による診断では、X線撮影を行うと、踵骨の骨端線が不規則な形に変形しているのがわかります。中には、X線写真で骨端核にひびが入る分節化などを示している症例もあります。医師による治療法では、踵部へのストレスを減少させるために、フェルトなどの材料を靴底に入れてクッションとして用いたり、足底装具を使用して踵を持ち上げたりします。短期間ギプスで固定することもあります。 また、湿布や消炎鎮痛剤入りの軟こうを使ったり、温熱療法や周囲の筋肉のストレッチなども行います。
痛みの強い時期には運動は原則的に禁止であり、軽くなってからも痛みの起こる動作は避けます。
症状がとれれば、徐々に運動を再開します。この際、運動の前後の準備運動と整理運動で、アキレス腱や足底腱膜のストレッチをしっかり行うようにします。
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