2022/08/26

🇵🇾ジャンパー膝

膝の皿に相当する膝蓋骨の下にある膝蓋靭帯に、使いすぎで痛みが生じる障害

ジャンパー膝(ひざ)とは、膝(ひざ)の皿に相当する膝蓋(しつがい)骨の下にある膝蓋靭帯(じんたい)に痛みが生じる障害。膝蓋靭帯炎、膝蓋腱(けん)炎とも呼ばれます。

使いすぎ(オーバーユース)に起因する膝のスポーツ障害で、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、バドミントン、陸上競技の高跳びや幅跳びなどでジャンプ動作や着地動作、方向転換動作を頻繁に行ったり、サッカーでキック動作やダッシュなどの走る動作、方向転換動作を繰り返し行ったりすることで生じます。

膝関節の屈伸動作を頻繁に、かつ長時間にわたって行うと、太ももの筋肉である大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の収縮筋力が膝蓋骨と膝蓋靭帯(膝蓋腱)の接合部に繰り返しかかることで、靱帯の微小断裂や変性が起き、膝蓋骨のすぐ下に痛みが生じます。痛みは、膝蓋骨と大腿四頭筋靱帯の接合部にもしばし生じ、膝蓋靭帯と脛骨(けいこつ)結節の接合部にもまれに生じることもあります。

好発年齢は12〜20歳で、多くは骨の末端部分のいわゆる成長軟骨である骨端線が閉鎖する15歳以降に生じ、特に男性に多く生じます。成長期に好発するのは、骨の成長に筋肉の成長が追い付かず、大腿四頭筋が相対的筋短縮の状態になり、筋肉の柔軟性が低下しているためです。

ジャンパー膝が進行すると、膝蓋靭帯の部分断裂や壊死(えし)を生じることがあり、まれに膝蓋靱帯の完全断裂を生じることもあります。

このジャンパー膝の症状は、4期に分類されます。1期では、スポーツ開始直後に膝蓋骨のすぐ下かすぐ上に痛みが生じます。多くは、スポーツをするのに支障はありません。

そのままスポーツを続けると2期となり、運動開始時と運動終了後に痛みが生じ、運動中は一時的に痛みが軽快、消失します。さらに進行して3期になると、痛みのためにスポーツの継続が困難となります。

4期では、膝蓋靱帯の断裂が生じます。痛みは、特にジャンプ動作やダッシュ動作で強く、ジャンプ動作では着地時の症状が強くなる傾向があります。

時に、膝蓋骨の下に、はれや熱感を伴います。通常は片側の膝にジャンパー膝が起きますが、両側の膝に起きることもあります。

ジャンパー膝は急性外傷ではないために、大半の発症者は1期、2期に医療機関を受診していません。治療を受けないと慢性化の原因にもなりますので、整形外科を受診することが勧められます。

ジャンパー膝の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、膝蓋骨の直下、もしくは直上に圧痛があり、時にはれや熱感を伴う症状から判断します。

X線(レントゲン)検査を行うと、膝蓋骨の下に石灰化による白い影が見られ、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行うと、膝蓋靱帯の断裂部分や肥厚が見られますが、初期の段階で異常が認められることは少なく、正確な診断を難しくしています。

整形外科の医師による治療では、症状を悪化させないよう、スポーツなどは極力休止して安静を保った上で、テーピングやサポーターで膝を固定する装具療法、消炎鎮痛剤の塗布・投与やヒアルロン酸の注射などで炎症や痛みを抑える薬物療法、温熱などの理学療法、大腿四頭筋のストレッチによって膝の筋肉の緊張をほぐし柔軟性を上げる運動療法などを、症状に応じ組み合わせて行います。

症状が軽い場合には、ストレッチ、アイシング、サポーター装着の併用でスポーツ活動の継続は可能ですが、2期以上に進行している場合には、ジャンプ動作の制限やスポーツの休止を行います。

症状が強く難治性の場合には、膝蓋靱帯の変性部分の切除や、断裂部分の縫合などを行う手術を実施します。

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