向こうずねに点状の紫斑ができ、慢性化して褐色調の色素斑ができる皮膚疾患
シャンバーグ病とは、点状の紫斑(しはん)が主に下腿(かたい)前面の向こうずねにたくさんでき、慢性化するうち、次第に褐色調の色素斑をみるようになる皮膚疾患。慢性色素性紫斑という疾患群の一つに分類され、その中で最も頻度の高い疾患です。
40歳以降の中年にみられることが多く、主に両脚の向こうずねの皮膚表面に症状が現れます。内出血による点状の紫斑から始まり、徐々に色素沈着や毛細血管拡張を伴って、褐色調の斑点が周囲に拡大していきます。病変部の境目は比較的はっきりしており、褐色調の色素斑の形状は不規則で、人によってさまざまです。色素斑と色素斑の間に、拡張した静脈あるいは静脈瘤(りゅう)の存在が認められることもあります。
軽度のかゆみを伴う場合もありますが、多くは自覚症状に乏しいまま慢性に経過し、数カ月から数年で軽快する場合が多いようです。皮膚に内出血がみられるものの血液学的に異常はなく、内臓などの全身臓器からの出血はありません。良性の疾患で、予後も心配ありません。
真の原因は不明で、うっ血による静脈内圧の高進や毛細血管壁の弱さが関係するものと考えられています。また、何らかの遅延型過敏反応であるという説もあり、衣類の接触、扁桃(へんとう)炎などからの病巣感染、ある種の薬剤の関与などを指摘する報告があります。
このシャンバーグ病以外にも、環状の色素斑ができる血管拡張性環状紫斑(マヨッキー紫斑)、丘疹(きゅうしん)状の皮疹をみる色素性紫斑性苔癬(たいせん)様皮膚炎(グージュロー・ブルム病)、かゆみの強い瘙痒(そうよう)などが慢性色素性紫斑に分類されています。いずれも下肢、特に下腿(かたい)の裏側が好発部位で、おおかたは両脚に発症します。
血液の疾患や血管の疾患で、慢性色素性紫斑と似たような症状が出ることもあります。シャンバーグ病の症状に気付いたら、疾患を正しく把握するためにも、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師に相談してみることが勧められます。
シャンバーグ病の検査と診断と治療
皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、出血傾向の一般検査を行ない、血液学的に異常をみないことを確認します。組織を病理検査すると、慢性的な出血性の炎症がみられます。病変部は明らかな色素の沈着を残すので、診断は比較的容易です。
症状の程度によって、ビタミンCなどの血管強化剤、止血剤、抗炎症薬などが使用されます。病因を絶つ根本治療ではなく、対症的治療にとどまります。副腎(ふくじん)皮質ホルモン剤(ステロイド剤)の外用が有効なことがあります。静脈瘤を伴う例には、弾力(弾性)ストッキング、弾力包帯を使用します。
慢性かつ進行性で一進一退を繰り返しますが、自然軽快もあり得ます。
衣類の接触とともに、使用中の薬剤などが疾患を悪化させているかどうかを観察し、日常生活の中で関係していると思われるものがあれば、それを避けるようにします。下肢の血液の循環に負担をかけないように、安静を心掛けることが大切で、枕の上に足先を挙げなど下肢を少し高くして寝ることもいいでしょう。長時間の歩行、立ち仕事などは控えるようにします。
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