指先から縦軸方向に力が加わって、手足の指に起こるさまざまな外傷の総称
突き指とは、指先から縦軸方向に力が加わって、指の関節周辺に起こるさまざまな外傷の総称。手の指だけでなく、足の指でも起こり得ます。
多くのスポーツ種目で発生し、 野球、バレーボール、バスケットボールなどの球技でボールを受け損なった時や、転倒して指を突いた時に発生しやすく、スポーツ外傷の中で最も頻度が高いものの一つです。スポーツ以外にも、自動ドアやエレベーターの扉の開閉時の接触事故などでも起きます。
いわゆる突き指には、指の関節の捻挫(ねんざ)、脱臼(だっきゅう)、靭帯(じんたい)の損傷や断裂、腱(けん)の損傷や断裂、打撲、軟骨損傷、骨折などが含まれます。 医学的には、予期せぬ指の外傷で、内出血はあっても止血が必要なほどの出血がない場合が突き指とされます。
このうち、頻度が高い外傷に槌指(つちゆび)があります。これには、指先にボールなどが当たることによって、指先に最も近い第1関節を伸ばす腱が断裂する場合と、この腱のついているところの裂離骨折による場合があります。いずれも指先が曲がったまま伸ばせなくなり、欧米で使われている木槌(マレット)の形状に似ていることから、槌指(マレット指)といわれています。
槌指では指先が曲がったままになり、自分の力で伸ばせなくなるほか、痛みやはれも認められます。脱臼や骨折があった場合も、指が異常に曲がった状態になります。このような変形がなくても、はれや内出血が強い場合には、骨折や靭帯損傷が疑われます。
突き指は軽いけがと思われがちですが、さまざまな外傷が含まれますので、受傷直後に指を引っ張るという行為はやるべきではありません。無理に引っ張ると、切れかかっていた腱や靭帯をさらに損傷することがあるからです。整形外科で実施する徒手整復法という患部を引っ張る手技は、腱や靭帯損傷がないと判断してから実施しています。
患部を氷などで冷やしてはれを抑え、骨折や脱臼の可能性もあるので患部を固定し、早めに整形外科、手の外科の医師を受診することをお勧めします。
患部の固定には添え木とテーピングが必要ですが、応急措置で適当な添え木がない場合は、親指以外なら隣の指を添え木として利用できます。例えば、中指を突き指した場合は中指と薬指を2本まとめてテープで巻けば十分です。
医師を受診せずに放置しておくと、いつまでもはれや痛みが続いたり、指の動きが悪くなったり、指の関節の変形や不安定性が残ったままになるケースも少なくありません。
突き指の検査と診断と治療
整形外科、手の外科の医師の診断では、指の痛み、はれ、変形があればX線撮影を行って、骨折や脱臼の有無を確認します。また、関節が不安定でぐらつきがあれば指に内反ストレス、外反ストレスを加えてX線撮影を行い、靭帯損傷の有無を確認します。
整形外科、手の外科の医師の治療には、保存療法と手術療法とがあり、外傷の種類や重症度によってどちらかを行います。保存療法では、腱や靭帯の損傷と骨折がなく必要な場合に徒手整復法を行った後、副子(ふくし)や装具、テープ、包帯などで体の外からの固定を行います。
手術療法は、第1関節が曲がったまま自力で伸びない槌指(マレット指)でずれのある骨折の場合、極めて整復が困難な親指の付け根の関節の脱臼の場合、内側の腱や靭帯が完全に切れている損傷の場合、骨折で欠けた骨のかけらの除去が必要となる場合などに行います。手術療法で整復や体の内からの固定を行った場合でも、保存療法と同じように体の外からの固定をすることもあります。
いずれの治療法でも、指の動きが悪くならないようにリハビリテーションを早期に行うことが重要になります。手術後に1カ月固定した場合には、固定期間の約3倍の3カ月程度のリハビリテーションが必要となります。
しかし、手術が必要になった場合にリハビリテーションをしても、指の機能は100パーセント戻るわけではありません。通常、指を曲げる屈曲角度はほぼ戻るものの、指を伸ばす伸展角度は完全には治らないと考えられています。ただし、指は通常曲げて使うので機能的には伸びなくても、日常生活では問題はありません。
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