ケラチン不足のために、爪が異常に軟らかい状態
オニコマレーシアとは、成人の爪(つめ)の甲が異常に軟らかい状態。爪甲(そうこう)軟化症とも呼ばれます。
爪は皮膚の付属器で、皮膚の最も表面にあって軟ケラチンからなる角層が変化したもので、硬ケラチンで主に形成されています。ケラチンとは20種類のアミノ酸が結合してできた蛋白(たんぱく)質で、水分をよく含んで弾力性に富み、紫外線や衝撃など外部刺激から指先を守るバリア効果やクッション効果があります。
その爪の硬さは、人によってかなり違います。赤ん坊の爪は大変軟らかく、年齢を増すごとにだんだんと硬い、弾力のある爪となってくるものです。そして、さらに年を重ねると弾力のない、硬い爪に変わっていきます。爪は指先の保護の役割と細かい作業をするために必要で、もしも成人で赤ん坊の爪のように軟らかい爪をしていると、細かい指先の仕事は難しくなってしまいます。
成人のオニコマレーシアでは、爪を構成している成分の一つであるケラチンが不足することから、徐々に爪の甲が薄く、軟らかくなります。色は青白く、曲がりやすくなります。よくカルシウム不足だと爪が軟らかくなどといわれますが、カルシウムの不足とは関係ないようです。
オニコマレーシアは手や足に汗を多くかく人に起こりやすく、多汗のために、爪の甲の中の水分が多くなってしまうためと考えられています。若い女性に比較的多くみられます。
また、クリーニング業の人などで、アルカリ性の薬品が長く爪に作用した場合、爪の甲がへこむ匙状(さじじょう)爪と一緒に生じることもあります。そのほか、手の爪に施すマニキュアを多用する人、足の爪に施すペディキュアを多用する人、爪をかむ癖のある人、リウマチのある人にも多く見受けられます。
全身的な栄養状態とは、無関係です。ほとんどの場合、内臓の疾患とは関係ないようです。
オニコマレーシアの検査と診断と治療
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、オニコマレーシアを起こし得る外的物質や薬品、あるいは皮膚疾患、多汗症などを検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。
皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、クリーニング業の人などに生じるオニコマレーシアの治療では、鉄剤を内服します。仕事上、どうしても薬品を使用しなければいけないという人にとっては、食事で鉄分を意識的に摂取することがお勧めです。また、指を保護するアイテムを使用するのもお勧めです。
リウマチが原因でオニコマレーシアを生じている場合、リウマチを治療することが先決です。
自分でできる対処法としては、オニコマレーシアの原因になるマニキュア、ペディキュアの使用を避け、爪専用の栄養クリームなどを塗ることです。
爪をかむ癖のある人は、重篤な感染症などを引き起こす可能性もはらんでいますので、できる限り克服したいものです。疾患としてとらえるならば、心療内科で相談してみるのがよいでしょう。
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