文部科学省は27日、全国の学校を対象に2021年度に実施した「問題行動・不登校調査」を公表しました。病気や経済的理由などとは異なる要因で30日以上登校せず「不登校」と判断された小中学生は24万4940人、小中高と特別支援学校のいじめの認知件数は61万5351件で、ともに過去最多でした。
文科省は、新型コロナウイルス禍による行動制限などで、人間関係や生活環境が変化したことが影響したとみており、「心のケアを中心とした早期の対策が必要だ」としています。
文科省は毎年、国公私立すべての小中学校・高校と特別支援学校におけるいじめの把握件数を調べ、小中高については暴力行為件数、年間30日以上の長期欠席者や不登校の人数、自殺者数を集計しています。
不登校と判断された小中の児童生徒数は9年連続で増加。今回の増え幅は特に顕著で、過去最多だった前年度から24・9%増加しました。一方、高校の不登校は18・4%増の5万985人で、過去10年でみるとほぼ横ばいで推移しています。
小中の不登校の主な要因で最多なのが「無気力、不安」(49・7%)で、「生活リズムの乱れ、遊び、非行」(11・7%)、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」(9・7%)が続きました。
1000人当たりの不登校の児童生徒数は平均25・7人で、都道府県でばらつきもありました。最も多かったのは高知県の31・2人で、宮城県の30・3人、島根県の29・9人が続きました。一方、最も少ないのは福井県の17・8%で、文科省の担当者は「早期対応に力を入れているかどうかなど自治体ごとの対策が反映されている可能性がある」と分析しています。
不登校とは別に、病気や経済的理由などによる長期欠席者数も調査。コロナの感染回避を理由とした「自主休校」は、初集計だった前年度の約3倍となる5万9316人となりました。
いじめの認知件数は全校種合わせ61万5351件で、新型コロナによる影響などで大幅減少した前年度の51万7163件から一転し過去最多になりました。小中の増え幅が特に大きく、小学校で18・9%増の50万562人、中学校で21・1%増の9万7937人でした。
2020年の全国一斉休校が明けて部活動や学校行事の活動が再開され、子供同士の交流の機会が増えたことなどが要因だといいます。
様態別では、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」が57・8%と最も多く、「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする」(22・9%)、「仲間はずれ、集団による無視をされる」(12%)と続きました。2006年度の調査開始から増加を続ける「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる」は、全体で2万1900件(3・6%)となり過去最多を更新しました。
生命や心身などに重大な被害が生じた疑いがあったり、長期欠席を余儀なくされたりするいじめの「重大事態」の発生件数も、前年度から191件と大幅に増加し705件を記録。最も多かった2019年度の723件に次ぐ件数となりました。
文化省児童生徒課は、不登校やいじめの増加傾向に歯止めがかからないことについて「新型コロナによる生活環境の変化が子供たちの行動に大きな影響を与えている」と分析。「今後は心のケアを始め、相談体制の充実など取り組みを推進していく必要がある」としています。
暴力行為の発生件数は小中高で前年度から15・5%増えて7万6441件。高校は横ばいの一方、小中で増加幅が激しく、小学校は17・2%増の4万8138人、中学校は14・8%増の2万4450人。自殺者は小中高で368人となり、過去最多の前年度から47人減りました。
2022年10月28日(金)
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