エジプトで開かれている国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で6日、世界気象機関(WMO)が今年の世界平均気温は産業革命前から約1・15度高くなるとの推計を報告しました。2015年から今年までの8年間は、観測史上最も高温の8年になるといい、地球温暖化が続いていると強調しました。
WMOが発表した報告書によると、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇し続ける中、今年の世界平均気温は、9月末までの時点で産業革命前より約1・15度高くなっており、南米沖の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」によって、世界全体では気温の上昇が抑えられた可能性があるものの、観測史上、5番目か6番目の高さになるとしています。
これにより、2015年から今年までの世界の1年間の平均気温は、8年連続で2014年以前よりも高くなる見通しだとしています。
WMOが発表した報告書によると、スイスの氷河の体積は2021~2022年で6%、2001~2022年では3分の1以上が失われました。海面の上昇は2021年1月から5ミリ、2020年1月からだと1センチになるといいます。また、直近10年間の海面の上昇速度は、人工衛星による観測が始まった1993年からの10年間の約2倍になっているといい、海面上昇加速の背景には、温暖化に伴う陸上の氷の融解量が増えていることがあるとしています。
温暖化によって気象災害が頻発し、激甚化することが指摘されています。実際、東アフリカでは今年、過去40年で最悪の干ばつが発生、パキスタンでは国土の3分の1が冠水する大洪水が起きました。
WMOは報告書で、「パキスタンの大洪水や東アフリカの干ばつに見られたように、気候変動(の原因)に最も関係ない人々が最も被害を受けることが多い。世界の半数の国には(事前に異常気象発生を予測する)早期警報がなく、整備がこれまで以上に重要になっている」と指摘しましいた。
気象観測などで事前に災害リスクを伝える「早期警報」を巡っては、COP27で、国連のアントニオ・グテレス事務総長が今後5年で各国に普及させる行動計画を発表する予定になっています。
昨年のイギリス・グラスゴーでのCOP26で各国は、世界平均気温の産業革命前からの上昇幅を「1・5度に抑える努力を追求する」と合意しました。しかし、条約事務局は10
月、各国が温室効果ガス排出削減目標を達成した場合でも、今世紀末までに約2・5度上昇する恐れがあると発表しました。
国連のグテレス事務総長はWMOの発表についてのビデオメッセージで、「地球が出す遭難信号に野心的で確かな行動で応える必要がある」と訴えました。
COP27は7、8日には首脳級会合が開かれ、フランスやドイツなどの首脳らが、自国の温暖化防止策などについて演説する予定。アメリカのジョー・バイデン大統領は中間選挙後の11日に参加、日本の西村明宏環境相は14日からの閣僚級会合に出席する予定となっています。
2022年11月7日(月)
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