新型コロナウイルスの感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策をとる中国で、感染者の洗い出しのため、地域住民全員を対象に行っていた定期的なPCR検査をやめる都市が増えています。背景には地方財政の悪化も指摘されています。
河北省石家荘市では、公共交通機関やスーパーなどを利用する際に市民に求められていた72時間以内のPCR検査の陰性証明が14日から必要なくなりました。
証明の必要がなくなった切っ掛けは、中国政府が11日に発表した新型コロナに関する新たな方針です。感染が発生していない地域については、新たに感染者が出ても感染源や経路が特定できていれば、市や区といった行政区の「全員を対象」にした検査は行わないと定めました。
これを受け、石家荘市のほか、南部の広東省広州市や、東北部の遼寧省大連市など、市民全員を対象にした定期的なPCR検査を廃止すると発表する都市が、各地で相次いでいます。
ただ、今回の方針について中国政府は、政策の「緩和」ではなく、あくまで「ゼロコロナ」政策を堅持すると強調しています。
中国の証券系シンクタンクは、PCR検査には人件費など最大で年間約34兆円の費用がかかると試算。中国の国防予算(28・8兆円)を上回る規模で、地方政府には巨額の負担がのしかかっています。
中国メディアによりますと、公衆衛生の専門家が「大規模なPCR検査は多くの地方の財政に大きな圧力をかけている」と話すなど、今回のPCR検査廃止の背景には地方政府の財政悪化を指摘する声も上がっています。
2022年11月17日(木)
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