中国政府は11日、中国本土で10日に確認された新型コロナウイルスの市中感染者が1万535人に上ったと発表しました。市中感染者が1万人を超えたのは4月29日以来となりました。
感染者の増加傾向に歯止めがかからず、危機感を強めた習近平(シー・ジンピン)政権は10日、共産党最高指導部の会議で、わずかな感染も許さない「ゼロコロナ政策」を継続する方針を確認しました。
市中感染者は、10月の党大会期間中は数百人台で推移していたものの、10月22日の閉幕後に急増。感染者は全国31の省・直轄市・自治区のすべてで確認されています。
習総書記(国家主席)が主宰した10日の会議では、ウイルスの変異や本格的な冬の到来で、「感染の範囲と規模がさらに拡大する可能性がある」と強い危機感を示し、ゼロコロナ政策を「断固貫徹しなければならない」と強調しました。
中国では、厳格な移動制限や隔離を伴うゼロコロナ政策の画一的な運用で、企業活動や社会生活が大きく制限され、各地で不満が噴出しています。
とりわけ北京市では、感染者が出た地域から市内に入ることを厳しく制限しています。中国に進出する日系企業でつくる中国日本商会によると、10月以降約1カ月にわたり北京市に戻れない社員もいます。同商会は11日、「合理的でない移動制限は経済活動に負の影響しかもたらさない」と制限の緩和を求める要望を市政府に出しました。
中国日本商会の調査によると、北京市外に出ると、リスク地域に近付いたかどうかを示すスマートフォンのアプリ「健康コード」が反応し、北京市に戻る飛行機や列車に乗れなくなるなどのケースが、会員企業の社員にも相次いでいます。この健康コードは、どういった場合に移動制限措置がかかり、どうなれば解除されるのかの基準が不明瞭で、多くの人にとって国内移動が困難になっています。
広東省広州市では、感染が広がっている地区を丸ごと封鎖。感染者の立ち寄りが疑われるビルや住宅街が次々封鎖されるなど、混乱が続いています。中国のSNS上では、同省で使う人が多い広東語で、厳格なゼロコロナ政策への不満や不安が相次いで書き込まれています。
不満の広がりや経済への影響を背景に、中国政府は11日、封鎖措置を乱発しないよう地方政府に求めるなど感染対策を「適正化」すると発表しました。だがSNS上では、「適正化など信じられない」と政府への不信感が相次いで書き込まれています。
「適正化」の中には、入国者に対する事実上10日間の隔離期間を8日間に短縮する措置も含まれており、ビジネス関係者の往来増を期待しているとみられます。SNS上では、「外からの流入については緩め、国内は厳しくなっている」などと不満が広がっています。
2022年11月12日(土)
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