筋力が衰え、足腰の弱った高齢者が、肉など高たんぱく質の食事を取りながらリハビリで運動に取り組むと、歩行能力が向上するとの研究結果を、関西医科大学と清水会鶴見緑地病院(大阪府守口市)などのチームがまとめました。転倒リスクも抑えられたといいます。
加齢で歩行能力が低下すると、要介護状態の前段階であるフレイル(虚弱)の原因になるとして、対策の必要性が指摘されています。研究チームは「筋力が低下した高齢者でもたんぱく質を豊富に含む食事を取れば筋力が改善し、フレイル予防と健康寿命の延長につながる」と話しています。
研究は、機能訓練特化型リハビリテーションを利用する高齢者72人が対象。運動に加えて食肉や肉加工品、乳製品などで高たんぱく質を取るグループ(27人、平均年齢81歳)と、運動のみのグループ(45人、同)とに分け、いずれも有酸素運動や無酸素運動、集団体操を1回3時間、週1~2回実施し、3カ月を経て筋肉量を測定しました。
たんぱく質の摂取量としては「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が示す65歳以上の目標量に基づいて1日当たり20グラム以上とし、高たんぱく質を取るグループにはこの基準を満たすよう、高たんぱく質を含む冷凍弁当を宅配しました。
その結果、高たんぱく質を取るグループでは、運動によって筋肉量が36・5キログラムから36・8キログラムへとやや増えた一方、運動のみのグループは変わりませんでした。5メートル歩行の速さはどちらのグループも改善しました。
いすに座った状態から立って3メートル歩き、折り返して再び座るまでの時間を調べて歩行能力を測る「TUGテスト」は、時間が短いほど自立していると考えられますが、高たんぱく質を取るグループは約3秒速くなった一方、運動のみのグループは変化がありませんでした。
運動に高たんぱく食も加えると筋肉量が増えるとは考えられていましたが、どのくらいの期間摂取すると、どの程度増えるか検証した研究はこれまでありませんでした。
研究チームの代表を務める、鶴見緑地病院リハビリテーション科の浜沢順也医師は、「3カ月で筋肉量が増え、運動機能も改善した。運動と食事の改善でフレイル予防にさらに効果があると考えられる」と指摘しています。
2022年12月14日(水)
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