アメリカ食品医薬品局(FDA)は11月30日、健康な人の便に含まれる細菌群を初めて医薬品として承認しました。クロストリジウム・ディフィシルという細菌が作る毒素によって炎症が引き起こされるクロストリジウム・ディフィシル腸炎を繰り返す18歳以上の患者が対象で、肛門から薬を注入し、腸内細菌のバランスを回復させて再発を抑えます。
原因となる細菌は普段から腸内にいますが、抗生物質で他の細菌が減ったり、免疫が弱ったりすると増殖し、毒素を作って下痢や腹痛を引き起こします。命にかかわることもあり、アメリカでは年1万5000人から3万人が死亡しています。
薬は、スイスの製薬企業フェリング・ファーマシューティカルズが開発。便の提供を受けて細菌群を精製し、安全性を確かめた上で溶液にしました。
約260人が参加した臨床試験では、この薬を投与された患者の70・6%で2カ月にわたり再発を抑制。うち90%超が半年後まで抑えられました。一方、薬効のない偽薬を投与された患者で2カ月間、再発しなかったのは57・5%にとどまりました。
2022年12月3日(土)
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