新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が19日開かれ、新規感染者数は全国的に緩やかに増加していて、5月の大型連休明けに感染が拡大することがあり得ると分析しました。
また、専門家会合の有志は、「第8波」を超える規模の「第9波」が起きる可能性もあるとする文書をまとめました。
専門家会合はこれまで定期的に開かれてきましたが、新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行されるのに伴い、今後は状況に応じて不定期で開かれることになりました。
専門家会合は現在の感染状況について、下げ止まった後、全国的に緩やかな増加傾向となっていて、特に大都市部で20歳代や10歳代以下の増加がみられるとしています。
重症者数や亡くなる人の数はこの冬の「第8波」の時期から大きく減った後、横ばいとなっています。今後の感染状況については、横ばいから緩やかな増加傾向が続く可能性があり、これまでの傾向を踏まえると接触機会が多くなる大型連休が明けた後で感染が拡大し、いったん減少するものの、再び夏に向けて感染拡大が起きる可能性があるとしています。
そのうえで専門家会合は、ワクチンや感染でできた免疫が時間とともに下がっていくこと、それに、免疫を回避する新たな変異ウイルスの割合が増えることなどによる影響に注意が必要だと指摘しました。
また、専門家会合は、来月、新型コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行される中でも地域での流行状況に関心を持ち、自主的に感染を防ぐための行動をとって特に重症化リスクの高い高齢者に感染が及ばないようにする配慮が重要だとしています。
そして、体調の不安や症状がある場合は無理せず自宅で療養するか医療機関を受診すること、手洗いや消毒を習慣として行うこと、その場に応じたマスクの着用やせきエチケットを行うこと、換気を行い、「3密」を回避することなどといった対策を改めて呼び掛けました。
一方、専門家会合の有志は19日、今後起こり得る「第9波」は、「第8波」より大規模となる可能性がある、との見解を示しました。海外と比べて人口に占める感染者の割合が低いため、コロナの5類移行後も、高齢者を中心に死者が継続して発生する可能性もあるとも指摘しました。
有志によると、流行の波ごとに流行規模が縮小しているイギリスと日本の状況を比較したところ、献血者の自然感染による抗体の保有率がイギリスは86%だったものの、日本は42%にとどまっていました。感染者の割合が低いことから、日本は第9波も第8波より大規模になる可能性が残されているとしました。
また、日本は75歳以上の後期高齢者の人口規模が大きいため、今後ワクチン接種率が現状から上がらないまま、対策緩和後の感染レベルが欧米と同じくらいになると、死者数が他国と比べて多い状況が続く可能性があるとしました。
ただ、流行型の特徴、獲得した免疫の減衰の程度など不確定な要素も多く、「正確な予測は困難」としています。
2023年4月20日(木)
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