環境省は21日、2021年度の温暖化ガス排出量が2020年度比2%増の11億7000万トンだったと発表しました。2013年度をピークに減少が続いていたものの、新型コロナウイルス禍からの経済回復でエネルギー消費量が膨らみ、8年ぶりに前年度を上回りました。2030年度の排出を2013年度比で46%減らす政府目標の達成には、一段の対応が求められます。
コロナ禍前の2019年度に比べると、2021年度は3・3%減。2020年度の排出量はコロナ禍で製造業の活動が停滞し、人の移動も減ったことから、1990年度に統計を始めてから最も少ない11億4700万トンでした。2021年度はコロナの影響が和らぎ、排出量が増加しました。
2021年度の森林などの吸収量は、2020年度比3・6%増の4760万トンでした。森林整備が進んで、4年ぶりに増加しました。排出量から吸収量を差し引くと、同2%増の11億2200万トンとなりました。政府の2030年度目標の起点である2013年度と比較すると、20・3%減でした。
二酸化炭素(CO2)の部門別の排出量は、生産量の回復などで産業部門が2020年度比5・4%増、貨物輸送量が増加した運輸部門が0・8%増、商店や事業所などの業務部門が3・3%増となりました。行動制限の緩和で外出が増えたことを映し、家庭部門は6・3%減となりました。
主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合は16日にまとめた共同声明に、温暖化ガスの排出量を2035年までに2019年比で60%削減する緊急性が高まっていると明記しました。
排出量の4割ほどを占める発電部門では、電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が0・5ポイント増の20・3%になりました。石炭と天然ガス、石油の火力の合計は72・9%となお高く、排出削減の目標達成にはさらなる対策の強化が欠かせません。
2023年4月21日(金)
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