熊本市西区の慈恵病院は22日、東日本と西日本に在住する成人女性2人が5月、病院の担当者のみに身元を明かして出産する「内密出産」をしたと公表しました。2021年12月の初事例から10、11例目。
2人は出産後に身元を行政に明かしましたが、慈恵病院は内密出産を「出産直後に匿名を希望する意思を確認した人」と定義しており、今回のケースも該当します。
病院によると、いずれも産婦人科を受診しておらず、「自分で育てられない」とメールや電話で相談しました。新幹線で来院後、間もなく自然分娩(ぶんべん)で出産。母子ともに健康だといいます。
10例目は東日本在住の女性で、出産後に「自分で育てたい」と考えを変えました。子共は女性の居住地の乳児院に保護されています。
11例目は西日本在住の女性。出産後、子供を特別養子縁組に託すことを決めました。子供は内密出産の事例では初めて乳児院に委託せず、特別養子縁組をあっせんする県外の民間団体に預けられました。養子縁組を望む夫婦に引き取られ、手続きを進めているといいます。
初事例から約1年半で10例を超えたことについて、蓮田健院長は「軌道に乗った感触がある。巣立っていく赤ちゃんが養親に託され、幸せそうな姿を見ると、新しい形ができている実感がある。赤ちゃんとお母さんの命を守るのが最も大きな柱だが、愛着障害や虐待など負の連鎖を断ち切る効果を感じている」と話しました。
熊本市児童相談所は、それぞれの子供の処遇について「個別の事案には答えられない」としています。
2023年6月23日(金)
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