西日本一帯で1968年に起きた、ダイオキシン類が食用油に混入した食品公害「カネミ油症」を巡り、認定患者の子や孫を対象とした次世代調査を行っている全国油症治療研究班は23日、結果の一部を公表しました。生まれ付き唇や上あごに裂け目がある先天性疾患「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」の発生率が高い傾向にあると報告しました。
この日、福岡市であった被害者団体への説明会で示されました。
厚生労働省は2021年8月から、汚染油を直接食べていない子や孫の「次世代」を対象とした初の調査を開始。2022年2月の中間報告で、認定患者の子や孫の男女計388人のうち「倦怠(けんたい)感がある」「頭痛・頭が重い」と回答した人がそれぞれ約4割いると、公表していました。
今回、研究班は421人に自覚症状などを尋ねるアンケートを実施し、先天性疾患については292人のデータを集めました。その結果、約1%に当たる3人に口唇口蓋裂がありました。全国約300の分娩(ぶんべん)施設で生まれた子供の一般的な発症率は0・2%といいます。
研究班長の辻学・九州大准教授は、「胎児の成長にダイオキシン類が影響している可能性がある」としています。今後は、低出生体重児など他の先天性疾患についても解析を進めるといいます。
ただ、倦怠感や頭痛といった次世代が訴える自覚症状と油症との関連についての解析は示されませんでした。研究班は、医師の診察所見や、ダイオキシン類の血中濃度などとの関係を現在分析しているとしました。
2023年6月24日(土)
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