東京都内で、新型コロナウイルスの患者数が緩やかな増加傾向にあります。都内の感染状況を分析する都感染症対策連絡会議が22日開かれ、都医師会の猪口正孝・前副会長は「今のところ、医療体制への大きな負荷はみられないが、今後の動向には注意が必要だ」と呼び掛けました。
都の報告によると、定点医療機関当たりの1週間の患者数は5月22〜28日の週で3・96人でしたが、29日〜6月4日で5・29人に増えました。5〜11日は5・99人で、12〜18日は5・85人となり数字上は下がっているものの、出席者は「横ばい」と評価しました。入院患者数も前週より減っているものの、同じく「横ばい」とされました。
会議で国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は、「都内の学校では学級閉鎖も起こっている」と指摘しました。
さらに、子供を中心に新型コロナ以外の感染症も増加し、子供を中心にかかる夏風邪の一種で、38度を超える発熱や口やのどに水膨れができるのが特徴の「ヘルパンギーナ」が5月以降急増して、6月12~18日の定点医療機関当たりの患者報告数は6・09人となり、都の警報レベルの6・0を超えたと報告されました。警報レベルとなったのは2019年8月以来、4年ぶり。
都はヘルパンギーナについて、特別な治療法やワクチンはないとし、こまめな手洗いなどの感染対策の徹底を呼び掛けています。
また、都によりますと、ヘルパンギーナと同様に幼い子供がかかりやすく、発熱や鼻水とせきの症状が特徴の「RSウイルス感染症」の患者数も増えていて、1医療機関当たりで2・32人と、前の週の1・35倍となりました。
会議の中で、都の担当者は「新型コロナで感染予防の意識が強まり、ほかの感染症の流行が抑えられていたが、そのぶん、免疫を持つ人も減ったのではないか」と分析しました。
東京感染症対策センターの賀来満夫所長は、新型コロナの感染法上の位置付けが5類に移行し「感染対策の緩みが(子供の感染症拡大の)要因になっているのでは」と指摘。場面に応じたマスク着用や手洗いなどの感染対策をとるよう改めて求めました。
2023年6月23日(金)
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