2023/06/03

🟧富山化学開発の「アビガン」、希少疾病用医薬品に指定へ マダニ感染症の治療に期待

 富士フイルム富山化学(東京都中央区)の開発した抗ウイルス薬「アビガン」が、5月29日の厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会で、薬事承認申請の優先審査など優遇措置を受けられる「希少疾病用医薬品」への指定を認められました。アビガンはマダニが媒介する致死率の高いウイルス感染症に効果があるとされ、実用化に向けた試験開発の加速化が期待されます。 

 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)は、国内の対象患者数が5万人未満で、医療上、特に必要性が高いなどの条件に合う医薬品として、厚労相が指定します。アビガンは6月にも指定される見通し。

 アビガンは新型コロナウイルスの治療薬としては承認を得られなかったものの、マダニにかまれて感染するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」 (SFTS)に効果がある医薬品として関係者から注目されていました。

 SFTSは重症化すると死亡することがあり、致死率31%とする研究もあります。国内では昨年、過去最多の118人(速報値)、今年も5月14日時点で43人が感染しています。ワクチンや有効な治療薬はありません。富山県内では昨年5月、犬2匹が感染し、11月には60歳代女性の陽性が確認されました。

 過去の臨床研究では、アビガンを投与した患者23人のうち19人が回復し、致死率が17・4%まで低下しました。

 希少疾病用医薬品の指定を受けると、研究開発促進に向けた国の支援が受けられます。助成金の交付、試験開発の指導・助言を受けることができ、他の製品より先に承認審査が行われます。

 アビガンの共同開発者で富山大名誉教授の白木公康氏は、「死亡率が30%のSFTSに対し、富山発のアビガンが使用されることはよいニュースだ」と話しています。

 2023年6月3日(土)

0 件のコメント:

コメントを投稿

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...