2023/06/11

🟧RSウイルスワクチンの製造・販売、欧米企業が厚労省に申請

 発熱やせきなどいわゆる風邪の症状が出て肺炎になることもあるRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)感染者が、増加傾向にあります。インフルエンザなど新型コロナウイルス以外の感染者も多く、専門家は手洗いなどの基本対策を求めています。そんな中、欧米企業は高齢世代や妊婦向けに、RSウイルスワクチンの製造販売を相次いで厚生労働省に承認申請。早期実用化への期待が高まっています。

 RSウイルスは接触や飛沫などにより、ほとんどの人が幼いうちに一度は感染します。通常は発症から1週間ぐらいでよくなるものの、乳幼児や免疫の働きが弱い高齢者では肺炎を引き起こし重症化することもあります。

 新型コロナウイルスの影響が出始めた2020年は感染報告数が少なかったものの、2021年の春から夏に例年を上回る流行が起きました。

 国立感染症研究所の集計では、今年も増える兆しが出ています。5月28日までの1週間の報告数は1医療機関当たり1・95人で、2021年の水準に近付いています。

 イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインは60歳以上が対象のワクチンを開発し、昨年日本で承認申請しました。アメリカの製薬大手ファイザーも申請中。

 すでにグラクソ・スミスクラインのRSウイルスワクチンは、5月2日にアメリカの食品医薬品局(FDA)に承認されました。ヨーロッパの保健当局も4月下旬、このワクチンの承認を勧告しています。同社は、アメリカで次のRSウイルスの流行シーズンが始まる前に同ワクチンが利用可能になることを期待しています。

  グラクソ・スミスクラインのワクチンは60歳以上の成人を対象とした後期臨床試験で、RSウイルス感染に対して82・6%の有効性を示したことが、昨年10月に公表されています。

 ファイザーのRSウイルスワクチンも、5月31日にアメリカの食品医薬品局(FDA)から、60歳以上の成人への使用を承認されました。

 後期臨床試験によると、このワクチンのRSウイルス感染による疾患の発症を予防する有効性は、RSウイルス感染の1つか2つの症状を持つ60歳以上の患者の間で67%、3つないし4つの症状を持つ重症患者の間では85・7%でした。

 ファイザーは、アメリカ疾病対策センター(CDC)がワクチンの使用を承認後、次のRSウイルス流行前の今年第3・四半期中に利用できるようにする見通し。ワクチンの価格については明らかにせず、推奨される年齢層を対象にした定期的な予防接種を支える価値に基づいた価格になるとしました。

 同社は同ワクチンの妊婦への接種でも、FDAの承認を求めています。それにより乳幼児の感染が予防できます。承認されれば、重症化のリスクが最も高いグループの1つである乳児向けの初めてのRSウイルスワクチンとなります。

 2023年6月11日(日)

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