発がん性が疑われる有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使用していた静岡市清水区三保の化学工場従業員の血液から高濃度のPFASが検出された問題で、工場敷地外の井戸で24日に採取した水から国の目標値を10倍以上上回るPFASが検出されたことが、京都大准教授と静岡新聞社の調査で25日までにわかりました。
内部資料から2006年12月、工場敷地内南西にある井戸から目標値の3万8000倍以上に当たるPFASの一種PFOA(ピーフォア)が検出されていたことも、明らかになりました。
工場は、現在の「三井・ケマーズフロロプロダクツ」の清水工場で、「テフロン」で知られるフッ素樹脂などを生産しています。2000年代初頭まで年間10トン程度のPFOAを大気中や敷地外の水路に排出し、2007年までに排出をほぼ全廃。2013年には使用自体を工場全体で廃止しました。
敷地外の井戸のPFASの濃度は、京都大医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)が分析。静岡新聞社が地主の許可を得て、工場敷地内南西の井戸から半径数百メートル以内にあり、地下5~10メートルから採水する家庭菜園用の井戸2カ所から24日に採水した水を調べました。現在製造や輸入が禁止されているPFASの一種PFOAとPFOS(ピーフォス)の1リットル当たりの濃度は534・72ナノグラムと234・68ナノグラムとなり、同50ナノグラムとする目標値の10・6~4・6倍でした。
原田准教授は、「過去の経緯から清水工場由来のPFASであると考えてよいだろう。行政は広範囲の地下水、土壌調査を行う必要がある」と指摘しました。
内部資料によると、2006年12月時点で工場敷地内南西の井戸からは、国の目標値の3万8760倍となる1リットル当たり193万8000ナノグラムを計測。PFOA排出をやめた2007年3月にも目標値の1万6880倍の同84万4000ナノグラムでした。
三井・ケマーズフロロプロダクツは、工場からの排水は「適切な管理をしている」とした上で、工場の敷地外の調査はしていないとしました。今後は「周辺環境(敷地外)調査は行政の要請にもとづき、協力していく」と回答しました。
2023年10月26日(木)
0 件のコメント:
コメントを投稿