マダニが媒介するウイルスによって発熱や下痢などが引き起こされる感染症「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」を発症した患者数が、全国で122人となり、統計を取り始めてから最も多くなりました。専門家は、温暖化でマダニの生息域が広がっていることによる影響を指摘しています。
SFTSは、マダニにかまれることで感染し、発熱や下痢などの症状を引き起こします。
特効薬がないこともあり、専門家によりますと、致死率が約10%に上るとされています。
国立感染症研究所によりますと、今年の患者数は10月8日の時点で、全国で122人となり、感染症法で全数把握対象疾患である4類感染症に指定されて統計を取り始めた2013年以降、最も多かった昨年の年間の患者数の118人をすでに上回りました。
都道府県別では、山口県が最も多く13人、次いで、宮崎県が12人、大分県が11人などと、西日本が多く、神奈川県でも1人となっています。
SFTSに詳しい長崎大学の安田二朗教授は、「温暖化の影響で、マダニの生息域が広がっている可能性がある。これまで報告されていなかった地域でも患者が報告されるようになっている。晴れた日はマダニの動きが活発になるため、キャンプや山菜採りなどで山の中に行く際は長袖や長ズボンを着用するなど、注意してほしい」と話していました。
厚生労働省は、特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけてはマダニに刺される危険性が高まるため、マダニが多く生息している草むらなどに入る際は、長袖や長ズボン、足を完全に覆う靴、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻くなど肌の露出を少なくするよう呼び掛けています。
屋外で活動した後は入浴してマダニに刺されていないかチェックし、万が一刺された場合は、マダニを無理に引き剥がそうとせず、医療機関で除去や洗浄などの処置を受けることが必要です。そして、数週間程度は体調の変化に注意して発熱などの症状があれば医療機関を受診してほしいとしています。
専門家は、農作業や森林での作業や、キャンプや山菜採りで山の中に入る場合のほか、ペットの犬や猫から感染することもあるとして、注意が必要だとしています。
2023年10月18日(水)
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