麻薬に似た成分を含む市販薬について、厚生労働省は30日、若者の間で広がる過剰摂取(オーバードーズ、OD)の対策として、20歳未満には大容量の製品や2個以上の販売を禁止する案を明らかにしました。
案は、厚労省の検討会で示されました。厚労省は今後、専門家の意見を踏まえて案を取りまとめ、制度改正を目指します。
薬局やドラッグストアで販売される風邪薬などの一部には、麻薬や覚醒剤に似た成分がわずかに含まれます。大量の摂取により、幻覚やけいれんを引き起こしたり、気分を高揚させたり、依存症にさせたりする場合があります。
このため、厚労省はこうした作用のある6つの成分、エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る)を「乱用の恐れのある医薬品」として指定。これらの成分が含まれる市販薬は1人1個の販売とすることなどを販売者に求めています。
だが、1個でも中毒量や致死量に至るほどの大容量の薬が入った製品があるほか、ネット通販で簡単に購入できるなど、対策の実効性が問われていました。
今回の案では、20歳未満に「乱用の恐れのある医薬品」を販売する場合、小容量の製品1個のみとし、2個以上や大容量の製品の販売は原則禁止としました。店頭では、客が手に取れない場所に陳列することにし、購入者の氏名や年齢を記録し、ネット通販では販売しないことも求めています。
検討会の委員からは「ODをしてしまう若者の周囲の大人に、問題を周知する必要がある」「長期的には販売記録を一元管理できる仕組みが必要だ」などの意見が出されました。
国立精神・神経医療研究センターの2021年度の調査によると、全国の高校生の1・6%に「過去1年間に市販薬の乱用経験がある」と推定されるといいます。背景には孤独や孤立、SNS(ネット交流サービス)の広がりがあると考えられています。
2023年10月31日(火)
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