国立がん研究センターは25日、2011年にがんと診断された患者約36万人の10年生存率が53・5%だったと発表しました。前回調査(2010年)より0・2ポイント上昇しました。併せて、小児(15歳未満)と、思春期以降のAYA世代(15~39歳)の10年生存率を初めて公表し、小児がんは約7~9割と、5年生存率と大きな差がありませんでした。
全国のがん診療連携拠点病院などが参加する「院内がん登録」の大規模データから集計しました。前回調査に続いて、純粋にがんのみが死因となる場合を推定した「純生存率(ネット・サバイバル)」を算出しました。部位別の10年生存率は、前立腺がんで 85・4%、乳がん(女性)で82・9%、大腸がんで57・9%、胃がんで56・8%などでした。
また、小児がんとAYA世代のがんは、すべての死因による死亡者数を計算に含めた実測生存率を算出し、5年生存率と比較しました。
小児がんでは、白血病の5年生存率が88・4%で10年生存率が86・2%、脳腫瘍の5年生存率が73・5%で10年生存率が71・5%と、いずれも10年生存率と5年生存率との差は約2ポイントとなり、わずかな低下にとどまりました。
一方、AYA世代の10年生存率は、子宮がん(子宮頸(けい)部・子宮体部)が5年生存率より1・4ポイント減の87・2%だったのに対し、乳がんは同6・5ポイント減の83・5%、脳・脊髄腫瘍は同5・7ポイント減の77・8%など、がんの種類によって低下の幅に差がみられました。
同センター院内がん登録分析室の石井太祐(たいすけ)研究員は、「これまで小児がんやAYA世代のがんは生存率に関するデータが限られていた。小児がんは治療後の見通しがよいことが裏付けられたが、AYA世代ではがんの種類によって必要な支援もさまざまだ。今回のデータを支援策を考える上で基礎資料にしてほしい」と話しています。
2024年1月25日(木)
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