心臓移植の件数が世界的にみても少ないなどの課題を受けて、心臓移植医療にかかわる医師や医療関係者らが新たに「日本心臓移植学会」を設立し、代表の大阪大学の澤芳樹名誉教授は、心臓移植が必要な人の待機期間を短くするために、速やかに移植を受けられる仕組み作りを国などに働き掛けていく考えを示しました。
新たに設立されたのは「日本心臓移植学会」で、心臓移植にかかわる医師や看護師、臓器移植コーディネーターなど約560人などが参加しています。
25日、学会の代表を務める大阪大学の澤教授らが東京都内で会見を開き、設立の趣旨を説明しました。
澤教授は昨年の国内で行われた心臓移植の件数は115回と、これまでで最も多かったほか、移植後10年間の生存率も2014年までのデータで89・3%と高い水準となっている一方、臓器移植を行うことができる医療機関のうち、実際に必要な人員や機材を整備できているのは半分程度で、速やかに移植ができる態勢が十分に整っていないとしています。
また、心停止や脳死と判定された人で臓器を提供した人の数は、日本の場合人口100万人当たり年間で0・62人と、アメリカの41・6人や韓国の8・56人と比べると大幅に少ない水準にとどまっているということで、心臓移植が必要な人の中には、提供の意思がある人が出るまで長期にわたって待機しなくてはいけないケースもあるということです。
日本臓器移植ネットワークによりますと、昨年末時点で、日本で心臓移植を待つ人は865人に上るということです。しかし、実際に移植を受けられるのは待機者の13%程度にとどまり、移植を待つ間に亡くなる人のほうが、移植を受けることができた人より多いといった課題があるということです。
このため学会では臓器を提供する意思のある人が脳死と判定された場合に、希望を確実にくみ取って移植を待つ人に速やかにつなげる仕組み作りを国などに働き掛けていきたいとしています。
澤教授は「日本の医療レベルは高いが、心臓を提供するドナーが少ないのが問題。助かる命を助けられる国にしたい」と話しています。
2024年1月26日(金)
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