アメリカの科学雑誌は「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す今年の「終末時計」について、ウクライナ情勢や緊迫化する中東情勢などによって、過去最も短かった昨年と同じ「残り1分30秒」と発表し、世界は引き続き、前例のない危険な状態にあると警告しました。
これはアメリカの科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が23日、アメリカのワシントンで記者会見して発表したものです。
この中で「人類最後の日」までの残り時間を象徴的に示す今年の「終末時計」の時刻について、「残り1分30秒」と発表しました。
「終末時計」の発表は1947年の「残り7分」から始まり、東西冷戦の終結後には「残り17分」まで戻されましたが、その後は徐々に短くなり、昨年はロシアによるウクライナへの軍事侵攻などを受けて10秒進められ、「残り1分30秒」とこれまでで最も短くなっていました。
今年は昨年と同じで、科学雑誌は長期化するロシアによるウクライナへの軍事侵攻でロシアの核兵器使用は依然として深刻なリスクだと指摘しています。
さらに、イスラエルとハマスの軍事衝突はより広範な紛争になり、世界的にも予測不可能な脅威をもたらす恐れがあると強い危機感を示しました。
そのほか、気候変動の世界的な影響や、AIによる偽情報拡散のリスクなどを挙げ、世界は引き続き、前例のない危険な状態にあると警告しました。
国際政治が専門で、「終末時計」を発表している科学雑誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」のレイチェル・ブロンソン代表は、「世界はこれまでで最も終末に近付いている。持続不可能な危険な状況にある。これが私たちが伝えたい最も重要なメッセージだ」と強調しました。
また、北朝鮮の核・ミサイル開発について、「北朝鮮はより好戦的で攻撃的になっている。そして、核兵器に焦点を合わせ続けている。北朝鮮は時計が終末に近付いている理由の1つだ」と述べ、強い懸念を示しました。
さらに、イスラエルとハマスの軍事衝突の影響について、「衝突が地域紛争へとエスカレートし、核保有国や核保有国を目指す国々を巻き込み始める可能性がある。中東で私たちが目にしているのは、より広範な紛争の可能性だ」と述べて、強い危機感を示しました。
その上で、ブロンソン代表は「終末時計」を巻き戻すためには、核保有国のアメリカと中国、アメリカとロシアの間の真剣な対話が必要だと訴えたほか、「核兵器への依存や投資の拡大、気候変動、AIについて、私たちが声を上げ、指導者たちと話し合う必要がある」と強調しました。
2024年1月24日(水)
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