能登半島地震の被災者で、新型コロナウイルスに感染した珠洲市若山町の比古咲(ひこさき)きみ子さん(87)が16日に亡くなっていたことが、明らかになりました。1日の地震後、新柄コロナに感染した被災者の死亡が確認されるのは初めてで、災害関連死の可能性があります。避難所では新型コロナや季節性インフルエンザが拡大しており、専門家は対策の徹底を呼び掛けています。
比古咲さんの長男孝さん(59)によると、比古咲さんは地震後、避難所の珠洲市飯田小に身を寄せていました。肝臓に持病があり、7日に治療のため金沢市内の病院を受診したところ、新型コロナの陽性と診断されて専用病棟に移りました。その後、高熱を出すなどし、9日後に息を引き取りました。
比古咲さんが入院直前まで過ごしていた飯田小は21日時点で107人が避難生活を送り、同日までに計12人の新型コロナ感染が確認されました。陽性の住民は別室に隔離し、トイレ、食事も別にして、ほかの避難者と接触がないようにしていました。
現在、感染者以外の避難者が過ごすスペースに間仕切りはないものの、来週以降は屋内にテントを設営するなどして対策を強化します。避難所運営の責任者を務める泉谷信七さん(73)=珠洲市飯田町=は「日赤の助言を受けて対策に当たっている。コロナの感染者は出ているが、拡大はしておらず、しっかり対応していきたい」と語りました。
孝さんは、「他の避難所に比べて手厚い感染症対策をしてくれたと思っており、関係者には感謝している」と語りました。
亡くなった比古咲きみ子さんは、地震が発生した1日、ひ孫らと一緒に雑煮を食べるなどして家族団らんを楽しんでいました。昨年12月には孫の結婚式に出席し「次は新しいひ孫の顔を見よう」と話していたものの、かないませんでした。
孝さんによると、きみ子さんは家族全員がノロウイルスに感染した時もただ1人無事だった「最強ばあちゃん」で、新型コロナの感染が判明した際も「おれに近づくな」と冗談を飛ばすほど元気でした。
孝さんは、「あれが最後の会話になってしまったが、母には『よう生きてくれた』と声をかけてあげたい」と語りました。
2024年1月23日(火)
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