座っている時間が1日に7時間以上だと、女性が乳がんを発症するリスクが4割近く上昇するという結果が、京都府立医科大などの研究チームによる大規模疫学調査で出されました。筋肉を動かさないことで血行が悪くなる影響などが考えられるといいます。
研究チームの京都府立医科大の富田仁美(さとみ)研究員(内分泌・乳腺外科)は、「座りっ放しによる運動不足の解消には、余暇にまとめて運動するより、ふだんから座っている時間を短くし、こまめに運動することが効果的。座りっ放しに気が付いたら、立ってストレッチをするなど、こまめに体を動かすよう意識してほしい」と話しています。
長時間座ったままだと、心筋梗塞(こうそく)や脳血管疾患、糖尿病などに悪影響があることが最近の研究でわかってきており、世界保健機関(WHO)も座ったままの行動を減らすように推奨しています。
日本人は世界的にも座っている時間が長く、1日当たり7時間(中央値)というデータもあります。厚生労働省の検討会がまとめた身体活動・運動の目安となるガイド案でも、座りっ放しに注意を呼び掛けています。
研究チームは、日本の女性に最も多いがんである乳がんとの関連を調べました。全国の35~69歳の約3万6000人の女性に、健康状態や座位時間などの生活習慣を尋ね、9・4年間(中央値)にわたり追跡。554人が乳がんを発症しました。年齢や体格指数(BMI)、喫煙、飲酒、乳がんの家族歴、初経や閉経の時期、出産経験、ホルモン療法の有無など、ほかの乳がんリスクの影響を取り除く手法で分析しました。
その結果、座っている時間が7時間以上の女性は、7時間未満の女性に比べて乳がんを発症するリスクが36%高いという結果が出ました。予防効果があるとされる「1日1時間以上歩く」「週3回以上運動する」といった対策を行っても、発症リスクは変わらなかったといいます。
研究チームは、長時間座って筋肉を動かさない状態が続くと、性ホルモンの乱れなどが生じやすく、乳がんの発症につながる可能性があるとみています。
乳がんは日本人女性の9人に1人が発症し、年間約9万8000人が新たに診断されています。
2024年1月7日(日)
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