島根大病院は7日、心臓の血管に障害が生じる重い先天性疾患の30歳代女性に対して手術を実施し、成功したと明らかにしました。心疾患に加え別の血管に関する心臓の難病も発症した非常に珍しい例で、手術でいずれの症状も改善するのは世界で初めてとしています。女性はすでに退院したといいます。
女性は島根県出雲市に在住。階段の上り下りで息が切れるなどしたため2022年に同病院を受診し、「右肺動脈大動脈起始症」と診断されました。心臓から血液を肺に届けるはずの肺動脈が、全身に血を送る大動脈と誤ってつながってしまった疾患で、心不全の原因となります。
さらに肺動脈と肺静脈がつながり、血液が正常に循環せずに呼吸困難に陥る「肺動静脈瘻」の発症も判明しました。
治療は小児循環器科などの医師が加わり検討。肺への血液量を減らす低リスクの手術も考えたものの完治とはならないため、大動脈とつながっている肺動脈を人工の血管で正常な形に再建する高リスクの手術に決めました。
手術は昨年7月に約10時間にわたって実施。治療によって心臓の血の巡りが正常化しました。
2024年3月10日(日)
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