新型コロナウイルス感染症の後遺症について、日常生活に支障を来す何らかの症状が3カ月以上続くリスク要因として「中高年」「女性」「糖尿病と喫煙」「デルタ株流行時の感染」といった項目が特定できたとする研究結果を、広島大の田中純子特任教授(疫学・疾病制御学)らの研究チームがイギリスの科学誌に発表しました。
新型コロナ感染症では後遺症に悩まされる人が多いものの、どんな要因が関与しているか十分に解明されていません。
研究チームは、2020年3月から2022年7月までの間に広島県でコロナと診断された約2400人から後遺症のデータを収集、分析しました。
その結果、感染時の隔離が解除された時点で成人の8割、小児の3割に倦怠(けんたい)感、せき、集中力低下などの症状があり、これらの症状が3カ月以上続いた場合は成人、小児ともに、その6割で症状が1年以上続くことがわかりました。日常生活に支障を来すレベルで何らかの症状が1年以上続いている人は、成人では全体の13・4%、小児では3・4%でした。
日常生活に支障がある症状が3カ月以上続くリスクについて、男性に比べて女性は2・1倍、12歳以下に比べて13~29歳は4・3倍、30~49歳は6・5倍、50~69歳は5・5倍、70歳以上は3・8倍でした。
喫煙習慣のある人はない人と比べて1・8倍、糖尿病の治療を受けている人は受けていない人に比べて2倍、リスクが高くなりました。飲酒習慣やワクチン接種の有無では差はありませんでした。
2021年7~9月のデルタ株が流行した時期に感染した人は流行初期の中国・武漢株に比べて2倍リスクが高く、アルファ株やオミクロン株では差はありませんでした。
2024年6月11日(火)
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