旧優生保護法(1948年~1996年)のもとで不妊手術を強制されたとして、視覚に障害がある浜松市の75歳の女性が起こした裁判で、国の賠償責任を認めた判決を不服として、国は7日、東京高等裁判所に控訴しました。
浜松市の武藤千重子さん(75)は、旧優生保護法のもと、視覚に障害があることを理由に1977年に不妊手術を強制されたとして、国に3300万円の賠償を求めています。
5月27日、静岡地方裁判所浜松支部は旧優生保護法は憲法に違反すると判断し、「子供を産みたいという希望や夢を理不尽にも奪われた原告の苦痛は甚大だ」と指摘して国の賠償責任を認め、1650万円を支払うよう命じました。
最大の争点だった不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」について、賠償請求の権利行使が困難な状況だったとし、適用は「著しく正義・公平の理念に反する」と認めませんでした。
この判決を不服として、国は7日東京高等裁判所に控訴しました。
原告側の大橋昭夫弁護団長は、「国が被害の実態を直視していれば控訴できないはずで、納得できない。原告も高齢なので1審の判決で安心させてあげたかったが、2審でも引き続き闘っていきたい」と話しています。
旧優生保護法を巡っては、最高裁判所大法廷が同様の裁判のうち、上告されている5件を審理していて、今年7月3日に判決を言い渡し、統一判断を示す見通しです。
2024年6月10日(月)
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