全国のがん拠点病院などでがんと診断された人のデータをもとに、国立がん研究センターが診断から1年ごとに患者の生存率がどのように変化するかを調べた結果、進行したがんでも治療を乗り越えると、その後の5年生存率が高まる傾向があることがわかりました。
国立がん研究センターの研究班は、2012年に全国のがん拠点病院などでがんと診断された患者39万人余りを対象にデータを分析し、このうち19種類のがんについて、患者が診断から1年生存するごとにその後の5年生存率がどのように変化するかをステージ別に集計しました。
その結果、多くのがんでステージ3、ステージ4といったより進行した段階の患者でも、1年生存期間が延びるごとにその後の5年生存率が高まる傾向がみられました。
ステージ4の胃がんの場合、診断時の5年生存率は5・5%ですが、診断から1年生存した人ではその後の5年生存率は12・3%、さらに5年生存した人では61・2%に上昇していたということです。
一方、乳がんや前立腺がんでは、生存期間が延びてもその後の5年生存率に大きな変化がみられず、研究班はこうしたがんには長期の治療や経過観察が必要なタイプがあるためだと分析しています。
研究班の石井太祐研究員は、「進行した段階で見付かったがんでも、最も病状が不安定な1年目を乗り切ると、その後の生存率が上がるというデータが得られた。治療に向き合う患者の希望につながれば」と話しています。
2025年3月9日(日)
0 件のコメント:
コメントを投稿