赤穂市民病院(兵庫県赤穂市中広)で受けた手術中のミスで両足に重度のまひが残ったとして、患者の女性(80)と家族が当時の執刀医と赤穂市に損害賠償を求めた訴訟で、被告側に計約8900万円の支払いを命じた神戸地裁姫路支部判決が確定しました。確定は5月31日付で、原告、被告側のいずれも期限までに控訴しませんでした。元執刀医と市が双方の支払い額について協議することになります。
5月14日に言い渡された判決では、当該手術について「被告医師の注意義務違反は著しい」と指摘。入職後9カ月間で関与した手術11件が院内事故調査委員会の検証対象とされた経緯を巡っても、「直ちに被告医師に本件手術の執刀をしてはならなかったほどの技量不足があったと認めることはできないが、被告医師の技量が稚拙であったことをうかがわせる事情とはいえ、注意義務違反の程度が著しいものであったことを裏付ける事情というべきだ」としました。
術後に被告医師が神経を損傷したことを明確に説明しなかったことや、病院側が過誤を認め謝罪するまでに時間を要した一連の経緯も「慰謝料を検討する上で相応に考慮すべき」と認めました。
術前に、透析となる可能性があるとして「早く手術したほうがいい」などと説明したことについては、虚偽とは認定しませんでした。
被告医師はウェブ漫画によって社会的制裁を受けたとして慰謝料の減額を求めていたものの、認められませんでした。
判決後、元執刀医側と赤穂市側はともに「判決を真摯に受け止める」としていました。原告代理人も判決の内容を肯定的に評価していました。
2025年6月3日(火)
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