視力が低下する加齢黄斑変性の患者に、人工網膜の技術を使うことで、1年後に文字が読めるようになった、と欧米の研究チームが20日発表した。臨床試験の結果がアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載された。
人は網膜の視神経で感知した光を、脳に信号として伝えることで視覚的な情報を認識している。加齢黄斑変性は、視神経が集まる黄斑部の細胞が失われ、視野の中心が欠けるなどする。失明の原因になる病気で、注射で進行を遅らせることはできるが、視力を改善させる方法はない。今回の臨床試験で対象とした欧米に多いタイプは、世界で500万人の患者がいるという。
人工網膜は、視細胞が失われた患者の網膜にデバイス(チップ)を入れ、目の中に残っている細胞に電気的な刺激を与え、脳に信号を送る仕組み。1990年代に入り、研究が加速し、2013年にはアメリカで「アーガスⅡ」という人工網膜が認可された。
今回の臨床試験は、アメリカのスタンフォード大で開発された「PRIMA」という装置を使った。患者に2ミリ四方のチップを移植。装着した特殊なめがねに取り付けたカメラで撮影した画像が、赤外線によりチップに伝わり、電気刺激に変換され、白黒の情報が認識される。
2025年10月21日(火)
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