感染力が非常に強いはしか(麻疹)患者が増加していることを受け、神奈川県は22日から患者の接触者を対象に予防ワクチン「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」の無料接種を始める。保健所から自身が接触者との連絡があった場合などに、来年3月末まで県が指定する10の拠点医療機関で緊急接種できる。免疫を持たなかったり不十分だったりする人を主な対象とした取り組みで、県によると全国で初めてという。
県によると、県内の感染者は2019年が94人だった一方、新型コロナウイルス禍の2020~2024年は0~1人を推移。しかし今年になって全国的に急増し、県内でも1~6月が39人、7月から11月末までが2人となっている。海外から入ったウイルスが広がったためとみられている。
はしかは麻疹ウイルスに感染することで発症し、重症化の恐れがある。予防接種法では小学校入学前までに2度の定期接種を受けることになっている。県内の接種率は第1期が94・8%、第2期が90・4%(いずれも2024年度)。2度の定期接種を受けなかったことなどを理由に、免疫を持たない人や不十分な人が感染すると、ほぼ100%発症するとされている。
患者に接触後、72時間以内にワクチンを接種すれば発症を防げる可能性があるものの、8000円~1万2000円程度の自己負担が課題だった。そこで県は9月補正予算で2240万円を投じ、280人分のワクチンを確保した。
感染が確認された場合、医療機関から届け出があった保健所が患者からの聞き取り調査で接触者をリストアップし、ワクチン接種の対象者に連絡するという。報道発表などを通して患者と接触したと疑われることが判明した場合は、各自で保健所に問い合わせてもらうことも想定している。
黒岩祐治知事は、子供の定期接種の大切さを説明するとともに、感染拡大防止に向けて「早め早めに手を打つことが大事」と呼び掛けた。
2025年12月21日(日)
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