群馬大とオーストラリアのクイーンズランド大は3日、人種・民族別の女性6グループを比較した結果、日本人は生活習慣が影響する「2型糖尿病」の発症リスクが白人の2・29倍になるとの研究結果を発表した。肥満の度合いを示す体格指数(BMI)が27・5以上の場合は特に顕著という。人種やBMIとの関連が明確になり、予防や早期発見のための健康指導で活用されることが期待される。
研究は、日中豪と欧米で暮らす女性73万408人を追跡調査しているデータを分析。グループは日本人、中国人、東南・南アジア人、白人、黒人、複数の人種・民族的背景を持つ人に分け、追跡期間は最長20年超になる。
リスクは、年齢や喫煙歴、BMIなどが同一という条件を想定して算出。最もリスクが低い白人を基準(1)にすると、日本人は2・29で、中国人2・77、黒人2・61、東南・南アジア人は4・13などだった。
BMIを加えた分析も行った。白人の18・5~23未満の適正体重グループを1とすると、日本人のこのグループは3・03だった。肥満に当たるBMI27・5~30未満で9・04、30以上の場合は19・67に上った。
従来、アジア人であることや肥満は糖尿病のリスクとされていたが、今回の研究で具体的な関連がわかった。
群馬県庁で開いた記者会見で、群馬大の長井万恵(かずえ)准教授(疫学)は「日本の糖尿病患者を減らすために早期介入の手立てを考えなければならない」と訴えた。クイーンズランド大のギータ・ミシュラ教授(疫学)は「世界で研究したことを日本の女性にも反映でき、共同研究はとても意義がある」と語った。
70歳時点で、中高年に多いとされる2型糖尿病の発症割合をみると、白人の約7%が最も低く、日本人は約18%だった。中国人は約12%、東南・南アジア人と黒人は約25%だった。論文は3日、糖尿病に関する国際学術誌で発表された。
両大学は女性の健康に関して体系的な研究を加速するため2023年10月、群馬大昭和キャンパスにクイーンズランド大との共同研究拠点を設置。長井氏は同大でも研究に従事した。
2025年12月6日(土)
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