生活保護の申請者や受給者のうちその日の食料に困るなど緊急支援が必要な人に対し、徳島市が、賞味期限切れの備蓄食品を支給し、その際、「体調が悪くなった場合、自己責任」とする同意書にサインさせていたことがわかった。
徳島市は「不適切だった」として、こうした対応を取りやめたとしている。
関係者や徳島市によると、市では2023年5月~2025年12月、生活保護の申請者や受給者のうちその日の食料に困るなど緊急支援が必要な計59人に対し、賞味期限が切れたパンやアルファ化米などの災害用の備蓄食品を支給し、その際、「支給された食料の飲食によって体調が悪くなった場合、自己責任であることを理解しています」とする同意書にサインさせていたということである。
支給した備蓄食品の中には賞味期限を1年2カ月すぎていたものもあったということである。
賞味期限切れの食品については国の食品寄付のガイドラインで「直ちに安全性を欠き、食べられなくなることを意味するわけではない」とした上で、食べられる期限の目安について科学的な根拠がある場合に限り提供されるべきで、食中毒などの事故発生に備えて連絡体制を整備することが望ましいなどとされているが、徳島市はこうした対応をとっていなかったということである。
また、市によると、防災訓練などで災害用の備蓄食品を市民に配付する際には、賞味期限の切れていないものを渡していたということで、生活保護に詳しい専門家は、「一般には渡さないものを生活困窮の人に渡していたことは、困っているからいいだろうという判断があった可能性もあり、線を引いていることになる」と指摘している。
これについて徳島市は、生活保護の決定を急ぐ対応を基本としているとした上で「『明日の食べ物がない』という人に対して賞味期限切れの食品を支給していた。生活保護の申請者などとそれ以外の市民で対応を分けていたという認識はない」と話している。
その上で「万が一の事故の想定をしていなかったことや『自己責任』とした同意書をとっていたことは不適切だった」などとして、こうした対応を取りやめたとしている。
2025年12月22日(月)
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