京都大学などは9日、食道がんの化学放射線治療とがん免疫薬を併用した医師主導の治験の結果を公表した。41人の患者のうち7割超に当たる30人でがんが完全に消えた。副作用の発生率も低く、安全性を示した。治験の結果をまとめた論文をイギリスの医学誌「イー・クリニカル・メディスン」(オンライン版)に掲載した。
食道がんは主に酒やたばこが原因で発症する。食道の周りには心臓や肺があり、手術が難しい。京大の武藤学教授によると世界の食道がん患者のうち8割がアジア人だ。武藤教授は食道がんの治療は「アジア人にとって重要な課題」だと話す。
食道がんは一般的に抗がん剤と手術を併用して治療する。手術ができない場合などは抗がん剤に加えて放射線で治療する。だが、この方法だとがんが再発するリスクが高く、治療効果も限られていた。研究チームは手術をせずにがんを確実に治す方法を目指し、抗がん剤と放射線の治療にがん免疫薬の「オプジーボ」を併用する治験を実施した。
日本人の食道がんの9割以上を占める扁平(へんぺい)上皮がんを対象に、治療の安全性や有効性を調べた。
すると結果が得られた41人のうち30人(73%)でがんが完全に消え、1年後の生存率も93%と高かった。放射線治療などに伴う重い副作用である肺臓炎の発生率は5%にとどまり、その他の副作用も医師らが対応できる範囲のものだった。がん細胞の遺伝子の働きを調べると、免疫の働きが活発なほど治療がよく効く傾向が出ていた。
今後は治療から3年後の経過を解析するほか、遺伝子の働きを調べてより治療が効きやすい人の特徴を探す。武藤教授は「効果が期待できる人たちを見付けて再発を避け、よりよい治療を提供できる」と期待する。
2026年1月12日(月)
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