昨年、大きな流行となった「百日せき」で、昨年1年間に少なくとも7人の赤ちゃんが亡くなっていたことがわかった。これは過去20年で最も多いとみられる死者数で、専門の医師はワクチンでの予防が重要だと呼び掛けている。
百日せきは激しいせきが続く細菌性の感染症で、特に生後6カ月以下の赤ちゃんで重症化や死亡のリスクが高いとされている。
昨年春ころから患者が急増して大流行となり、1年間に報告された患者数は8万9387人で、現在の方法で集計を始めた2018年以降最も多くなった。
さらに、全国およそ100カ所の赤ちゃんの治療の基幹となる病院に尋ねたところ、昨年1
年間に百日せきで入院したのは延べ480人以上で、このうち少なくとも7人が治療を受けたものの亡くなっていたことがわかった。
厚生労働省の人口動態調査によると、過去20年で百日せきの死者が最も多かったのは2012年の3人で、昨年の死者数はそれを超えて最も多くなっているとみられる。
亡くなった7人は生後1カ月未満から4カ月の赤ちゃんで、このうち5人は生後2カ月から受けられる百日せきを含む定期接種のワクチンを接種する前だった。
昨年の流行はこれまで治療に使われてきた抗菌薬が効かない「薬剤耐性菌」の拡大が背景にあるとみられていて、中には、薬が効かずに治療が遅れ、死亡したケースも報告されている。
子供の感染症に詳しい新潟大学の齋藤昭彦教授は、「百日せきは赤ちゃんが命を落とすことのある深刻な病気であることを認識しなくてはいけない。マスクなどの感染対策のほか、ワクチンが効果的なので赤ちゃんだけでなく学齢期の子供を始め、周囲の家族が追加で接種することも検討してほしい」と呼び掛けている。
百日せきは患者の飛まつなどで広がる細菌性の感染症で、発症すると激しいせきなどの症状を引き起こす。
赤ちゃんで重症化しやすく、呼吸が止まってしまったり、肺炎や脳症といった合併症を引き起こしたりして死亡することもある。
過去には、毎年多くの患者が出ていた病気で、1960年代には死者が100人を超える年もあった。
しかし、1981年に現在使われているタイプのワクチンの接種が始まってからは減少傾向が続き、重症化したり死亡したりする赤ちゃんも少なくなった。
厚労省の人口動態調査によると、近年は死者の報告がない年もあり、過去20年で最も死者が多かったのは2012年の3人だった。
百日せきに感染した場合、通常は「マクロライド系」と呼ばれる抗菌薬を服用することで治療するが、この薬が効かない「薬剤耐性菌」の拡大が問題となっている。
国立健康危機管理研究機構の調査によると、昨年、全国の患者から採取した検体のうちおよそ8割が耐性菌だったということである。
耐性菌に感染したかどうかは詳しい検査をしないとわからないため、昨年の流行では赤ちゃんの治療が遅れて亡くなったケースも報告されている。
また、通常使われる抗菌薬を処方されても治療し切れないため、症状が治まらないまま感染を広げてしまう恐れも指摘されている。
このため日本小児感染症学会と日本小児呼吸器学会は昨年8月、百日せきの診療ガイドラインを見直し、重症の患者には通常の「マクロライド系」の抗菌薬に加え、「ST合剤」と呼ばれる別の抗菌薬の使用も検討するよう呼び掛けている。
2026年1月30日(金)
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