厚生労働省は、脳死者から提供される臓器の移植手術を実施した病院に対する診療報酬を手厚くする方針を固めた。院内の人員や設備不足を理由に移植が見送られる問題が起きる中、病院が体制を整えて移植をスムーズに行えるようにする狙いがある。2026年度の診療報酬改定での加算の新設を目指しており、28日の中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に提示した。
移植を手掛ける病院は、外科医らが臓器提供者(ドナー)がいる病院に赴き臓器の摘出を行い、自院に運んだ臓器を患者に移植する。移植には、多くの人員と手術室の確保が必要となるが、これらが不足し移植を見送る事態が相次いでいる。厚労省によると、2024年に脳死者から提供された臓器に対し、院内の体制を理由に、移植が見送られた患者は延べ662人に上った。
厚労省は、脳死者からの臓器の摘出と移植の手術を行った場合に、実施病院に支払う診療報酬を加算する新しい仕組みを設ける。肺、心臓、肝臓、 膵臓(すいぞう)、小腸、腎臓の摘出や移植の手術料に、一定割合を上乗せする。
外科医らの移動、人員や手術室の確保に加え、急な移植手術に対する普段の準備などにかかる手間を評価する。加算によって移植を行う病院に人員や設備の充実を促す。加算額は2月までに決める。
また、臓器提供が行われる病院で、ドナー家族の対応などに当たる認定ドナーコーディネーターの働きにも診療報酬で評価する。厚労省は、看護師らを認定する仕組みの構築を進めており、改定後は認定者が家族に臓器提供の同意取得を行った場合に、報酬を手厚くする。
現行では、臓器あっせん機関の日本臓器移植ネットワーク(JOT)が同意取得を担っているが、業務の逼迫(ひっぱく)による手続きの遅れが問題視されていた。厚労省は、各病院に認定者を配置しやすくし、臓器提供の手続きが滞りなく進むようにしたい考えだ。
近年、国内の脳死下の臓器提供件数は増えているものの、国際的なデータベースによると、2024年の人口当たりの脳死と心停止ドナーは米国の44分の1、韓国の7分の1で、先進国の中で最低水準となっている。
2026年1月29日(木)
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