南海トラフ地震など大規模災害発生時の被害想定や必要な態勢などのシミュレーションをより実践に即した詳細なものにするため、政府は来年度、自治体向けの交付金制度を創設する。市町村ごとに、救助活動に必要な人員や救急車の台数、搬送時間などを数値化し、地域防災計画の実効性の向上につなげたい考えだ。
新たに創設するのは、「防災力強化総合交付金」。来年度当初予算案に35億円を計上した。初年度は、特に発生が懸念される南海トラフ地震と日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害想定地域から対象自治体を選ぶ方向だ。
現在、市町村が策定する地域防災計画では、国の被害想定などをもとに、域内の死者・負傷者数や建物倒壊数などを算出している。今後は、発災後に必要となる救助や救急搬送の要員、負傷者のトリアージ(優先順位判定)や応急処置を行う医療救護所の態勢などの数値化を目指す。道路が損壊している場合に、負傷者の搬送にかかる時間も割り出す方針だ。
こうした結果と現在の各市町村の態勢を比較することで、それぞれの行政機関や災害拠点病院の人手・資機材が被災時にどれだけ不足するかを詳細に把握することができる。災害対応の「弱点」をあぶり出し、防災計画や備蓄の見直しを促す狙いがある。政府は近く有識者会議を設置し、自治体ごとにバラツキが生じないよう、数値化の具体的な手法を議論する。
今年中には、防災対策の司令塔機能を担う「防災庁」が新設される予定だ。同庁は「事前防災」の強化を進め、こうした自治体の取り組みを促進する。担当する政府の職員も、現行の内閣府防災担当の約220人態勢から、防災庁は発足時の定員352人へと大幅に増員する。防災庁内で自治体ごとの担当者を決め、伴走支援する。各地域の災害拠点病院を所管する厚生労働省を含め、省庁間の連携も推進する。
2026年2月2日(月)
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