2022/08/03

🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿鳥インフルエンザ

鳥インフルエンザとは、鳥類がかかるA型インフルエンザの一種で、H5N1型、H7N7型などに分類されます。感染した鳥類が全身症状などの特に強い病原性を示すものを「高病原性鳥インフルエンザ」と呼び、にわとり、七面鳥、うずらなどが感染すると大量死することもあります。

生きた病鳥や内臓、排泄(はいせつ)物に接触することで、鳥から人間にも感染し、発病した場合の致死率は6割を超えます。

人から人への感染は2008年1月、中国でH5N1型による感染が初確認されましたが、ウイルスの変異はありませんでした。もし、ウイルスが人間の体内などで変異して、空気感染力などを持つ新型インフルエンザになると、世界中で大流行する恐れがあるため、各国政府も警戒を強めています。

日本の国立感染症研究所では1月現在、中国、韓国、インドネシア、ベトナムの四つの研究機関と、感染症研究で国境を越えて協力を進めるための覚書を締結。出現が懸念されている新型インフルエンザに関しての情報交換や、共同研究、人材育成などを進めています。

厚生労働省では、新型インフルエンザの流行初期に接種するプレパンデミックワクチンについて、ベトナム、インドネシア、中国のウイルス株合わせて2000万人分を3月までに製造し終える予定です。ウイルス株を新たに追加し、3000万人分のワクチンを備蓄する計画も進行中。

🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿トリコモナス症

トリコモナス症とは、トリコモナス原虫という単細胞生物の繁殖によって、腟や尿道に起こる性感染症です。トリコモナス膣(ちつ)炎、膣トリコモナス感染症とも呼ばれます。

もともとの感染経路には不明な面もありますが、男女間の性行為で感染することは確かなので、性感染症の中に含まれています。しかし、性交経験のない女性でもみられることがあり、便器、入浴、タオルなどを介しての感染もまれにあるようです。

トリコモナス原虫は一般に、男女両方の生殖器や尿管に感染しますが、症状が出るのは主に女性です。男性では、症状がほとんどない尿道感染症がよくみられ、まれに精巣上体や前立腺(ぜんりつせん)が感染します。

女性は通常、黄緑色の泡立った分泌物が腟から出ることで発症します。分泌物の量は少ないこともあります。外陰部が過敏になって痛み、性交痛も起こります。重症の場合、外陰部や周辺の皮膚が炎症を起こし、陰唇が腫(は)れます。排尿痛や頻尿など、膀胱(ぼうこう)感染症で起こるのと同じような症状だけが起こることもあれば、他の症状と併せて起こることもあります。

トリコモナス症の男性は、症状はなくてもセックスパートナーに感染を起こします。また、尿道から分泌物が出て、排尿痛、頻尿などの症状を伴う非淋菌(りんきん)性尿道炎にかかっている男性もたくさんいます。

医師による診断では、女性では膣分泌物の顕微鏡検査や培養法でトリコモナスを確認します。男性では尿または尿道分泌物、前立腺液、精液中のトリコマナスの有無を確認しますが、発見するのは女性より困難です。

医師による治療では、女性はメトロニダゾールの内服、またはメトロニダゾールの膣剤、またはその併用です。男性ではメトロニダゾールの内服を7日から10日間。男性、女性とも薬が良く効きますが、セックスパートナーも同時に治療しなければ、再感染する恐れがあります。

メトロニダゾールは、アルコールと一緒に服用すると、悪酔いや吐き気、肌の紅潮を引き起こします。内服治療中は、アルコールは飲めません。

🇬🇧トリプルX症候群

女性だけにみられる性染色体異常で、言葉の障害や運動機能の遅れがみられる疾患

トリプルX症候群とは、染色体異常のうちの性染色体異常の疾患で、女性にだけ起こる先天的な疾患群。XXX症候群、スーパー女性、超女性とも呼ばれます。

染色体は、体を作るすべての細胞の内部にあり、2つに分かれる細胞分裂の一定の時期のみ、色素で染めると棒状の形で確認できます。染色体には22対の常染色体と2対の性染色体とがあります。父親から22本の常染色体と1本の性染色体、母親から同じく22本の常染色体と1本の性染色体を受け継いで、全部で46対の染色体を持つことになります。

性染色体にはXとYという2つの種類があり、Xを2本持つ場合は女性に、XとYを1本ずつ持つ場合は男性になります。染色体は女性だと46XX、男性だと46XYということになります。

トリプルX症候群の女性の場合は、性染色体がXXXと1本多く、女性約1000人に1人の割合で生まれるといわれます。

正確な原因は不明ですが、減数分裂の際に2対の染色体が分裂し損なってXが1つ多い卵子もしくは精子を作り出す、もしくは減数分裂後の受精段階で、胎児の前身の胎芽の細胞分裂でXが1つ多くなることで起こるとされます。母親の高齢出産で、トリプルX症候群の新生児女児が生まれる頻度が高いともいわれています。

このトリプルX症候群は、パトリシア・ジェイコブズらがイギリスのスコットランドで、染色体構成47XXXを持つ2人の女性を見付け、1961年に最初に報告しました。

染色体構成47XXXを持つ新生児女児のほとんどは、トリプルX症候群の症状をいくつかしか持っていないか、全く持っていません。

新生児女児のほとんどは、身体的には誕生時から正常に発育します。ただし、誕生時の平均体重値は、正常な染色体を持つ女児よりわずかに低くなっています。8歳までは、正常な染色体を持つ女児よりやや身長の伸びが速く、最終的に2、3cm高くなり、高身長で手足の長い細身の体形になる人が多いとされます。

ほとんどは、性関連と性ホルモン条件に関して、正常な染色体を持つ女児と違いはありません。外陰部や卵巣、子宮、膣(ちつ)に異常はなく、一般的な胸部、体毛の成長、そして第二次性徴も普通に現れます。妊娠、出産も可能で、その子供の大部分は正常な染色体を持って生まれます。

染色体構成47XXXを持つ女児のほとんどは、通常の知能、もしくは低くても通常の範囲の知能を持っています。しかし、その多くは、言葉の障害や学習障害を持ち、運動機能や感情の発達の遅れがみられます。数は少ないものの、軽い知的障害を持っていることもあります。

なお、トリプルX症候群の症状の現れは人によって大きく異なり、筋緊張低下によって上まぶたにしわが寄ったり、小指が短く内側に曲がった斜指症がみられることがあります。中には、発作や、腎臓(じんぞう)を含む泌尿生殖器の奇形など、より深刻な状態がみられることもあります。

普通、トリプルX症候群のほとんどは、治療の必要はありません。

🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿デング熱

蚊が媒介するデングウイルスによる感染症で、熱帯や亜熱帯の地域で主に流行

デング熱とは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊によって媒介されるデングウイルスの感染症。インフルエンザのように人から人には感染しません。

非致死性の一過性熱性疾患であるデング熱と、重症型のデング出血熱の二つの病状があります。デングウイルスは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属し、1型、2型、3型、4型の4種の血清型が存在します。

デング熱は、デングウイルスを持った蚊に刺されることで感染、発症します。例えば1型の血清型のデングウイルスに感染した場合、1型に対しては終生、免疫を獲得するとされます。しかし、ほかの血清型に対する交差防御免疫は数カ月で消失し、その後は2型、3型、4型のデングウイルスに感染し得ます。この再感染時に、重症型のデング出血熱になる確率が高くなるとされています。

デングウイルスの感染症が主にみられるのは、媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカの存在する熱帯や亜熱帯の地域、特に東南アジア、南アジア、中南米、カリブ海諸国ですが、アフリカ、オーストラリア、中国、台湾、日本においても発生しています。

日本国内にはデングウイルスは常在しておらず、海外でデング熱に感染して、帰国後に発症する人が年間200人ほど報告され、2013年にはこれまでで最も多い249人の発症者が確認されていました。しかし、2014年1月に日本を旅行したドイツ人の女性が帰国後にデング熱を発症し、8月下旬には、およそ70年ぶりに日本人女性が国内感染でデング熱を発症したのを皮切りに、10月初旬には155人が発症しています。

全世界では、年間約1億人がデング熱を発症し、約25万人がデング出血熱を発症すると推定されています。

蚊に刺されてデングウイルスに感染後、2~15 日、多くは3~7日の潜伏期間をへて、突然の高熱で発症します。頭痛、目の奥の痛み、腰痛、筋肉痛、関節痛が主な症状として現れます。発熱は、2〜7日間持続します。

さらに、食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐(おうと)、脱力感、全身倦怠(けんたい)感も現れることがあります。全身のリンパ節のはれもみられます。また、発熱してから3〜5日目に胸、背中、顔面、腕、脚に発疹(はっしん)が出ることもあります。

これらの症状は約1週間で消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。

デングウイルスに感染後、デング熱とほぼ同様に発症して経過した人の一部は、熱が平熱に戻るころに突然に、血液中の液体成分である血漿(けっしょう)が血管から漏れ出したり、出血の症状が現れたりするデング出血熱となることがあります。

血漿の漏れ出しは、胸水あるいは腹水として現れます。出血は、比較的軽い点状出血、鼻出血、血便、重篤な吐血、下血と多様です。血漿の漏れ出しが進行すると、ショック症状を起こし、デングショック症候群となることがあります。

デング出血熱を起こして適切な治療が行われないと、死亡することがあります。

蚊に刺されて3~7日程度で高熱などの症状が出た場合には、内科や感染症科を受診する必要があります。

デング熱の検査と診断と治療

内科、感染症科の医師による診断では、血液検査を行い、血液からデングウイルスやその遺伝子を検出すること、あるいは特異的な抗体を検出することで確定します。血液所見では、発症後数日で末梢(まっしょう)血の血小板減少、白血球減少がみられます。

デングウイルスには1〜4型の4つの型がありますが、どの型のウイルスでも同様の症状が起こるので、症状から感染したウイルスの型は特定できません。

また、発疹を有するウイルス性疾患である麻疹、風疹、チクングニア、エンテロウイルス感染症や、チフス、マラリア、猩紅(しょうこう)熱、A型肝炎、レプトスピラ症などとの鑑別を行います。デング熱でも時に呼吸器症状がみられることがあり、呼吸器感染症との鑑別を行う必要が生じることもあります。

内科、感染症科の医師による治療では、デング熱に有効な抗ウイルス薬やワクチンがないため、対症療法を中心に行います。

通常のデング熱の場合には、輸液による水分補給や鎮痛解熱剤の投与を行います。ただし、血小板の機能を低下させ、出血傾向を助長する可能性があるため、鎮痛解熱剤としてアスピリンやロキソニンなどを投与してはいけないことになっており、アセトアミノフェンを投与します。

デング出血熱の場合には、血漿漏出による循環血液量の減少、血液濃縮を輸液によって補います。輸液剤としては生理食塩水、乳酸加リンゲル液などのほかに、新鮮凍結血漿などが必要となることもあり、時には酸素投与なども行います。血小板減少が著しい場合には、血小板輸血も考慮します。

デング熱の予防に関しては、デングウイルスを媒介するヒトスジシマカに刺されない工夫が重要です。ヒトスジシマカは、秋田県および岩手県以南の日本のほとんどの地域に生息し、その活動時期は5月中旬から10月下旬なので、茂みのある公園や庭の木陰、竹林の周辺、墓地では、長袖のシャツを着たり、靴下を履いたりするなど、なるべく皮膚の露出を減らすことが有効なほか、虫よけスプレーなどを使うことも効果的です。

デングウイルスを持ったヒトスジシマカも、10月下旬以降には死にます。卵を産みますが、デングウイルスが受け継がれることはほとんどありません。

🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿電磁波過敏症

ある程度の電磁波を浴びることで体が過敏に反応し、さまざまな症状が現れる疾患

電磁波過敏症(Electrical Hypersensitivity)とは、身の回りにある微弱な電磁波を浴びることで体が過敏に反応し、頭痛や吐き気などのさまざまな症状が現れる疾患。日本ではまだ認知されていない疾患で、アメリカの医学者ウィリアム・レイ博士によって命名されました。

電磁波対策先進国のスウェーデンやデンマークでは、電磁波過敏症は疾患として認知され、公的保健の対象になっています。また、スウェーデンでは1995年に国策として、労働者の安全と健康を守る法律を始め、コンピュータ画面からの電磁波放射の規制を制定し、その規制をクリアした製品しか販売できなくなっています。ほかにもドイツ、アメリカなど欧米各国では認知されつつあり、ケアも進められています。

世界保健機関(WHO)では、電磁波過敏症の存在を認めていますが、電磁波にさらされて起きることを裏付ける科学的根拠はまだないとしています。

電磁波には、波長の短い順にガンマ線、エックス線、紫外線、可視光線、赤外線、電波があります。ガンマ線とエックス線の2つは放射線であり、電波は波長の短いマイクロ波から、長い極超長波まであり、細かく分けられます。

レイ博士によると、電磁波過敏症の人は最初に目、皮膚、神経に症状が現れます。次に、呼吸困難や動悸(どうき)、めまい、吐き気などの症状が現れてきます。また、疲労感やうつを伴う頭痛や短期的な記憶喪失、手足のしびれやまひが起こってくる人もいます。

一方、世界保健機関(WHO)では、電磁波過敏症は人によって異なるさまざまな非特定症状を持つのが特徴であるとした上で、 一般的な症状として、発赤、チクチク感、灼熱(しゃくねつ)感などの皮膚症状や、神経衰弱症のほか、倦怠(けんたい)感、疲労感、集中困難、めまい、吐き気、動悸、消化不良などの自律神経系症状を挙げています。

電磁波過敏症の原因については、まだはっきりとはわかりませんが、電磁波によるカルシウムイオン流出や脳中心部の松果体(別名、磁気器官)からの分泌ホルモンの抑制による免疫機能の低下で、アレルギー状態になりやすいことが原因ではないかと考えられています。

この電磁波過敏症は、家電製品や携帯電話などから出る電磁波に反応して一度過敏になると、ほかの人が感じないほどの微弱な電磁波でも繰り返し反応します。症状が悪化すると、高圧送電線、携帯電話の基地局塔、電波塔、電車の中、家電製品、パソコン、携帯電話、コードレス電話、歯科のレントゲンや医療器具などにも反応し、近付くことができないなどの障害が現れます。

今のところ、主な対処方法は電磁波の発生源を避ける以外にありません。電化製品は配置を換えたり、使用頻度を少なくすることで対処し、高圧送電線や携帯電話の基地局塔には近寄らないことで対処します。

🇬🇮伝染性紅斑

伝染性紅斑(こうはん)とは、ほおがりんごのように真っ赤になるウイルス感染症で、俗にリンゴ病と呼ばれます。ヒトパルボウイルスB19型というウイルス感染によって、幼児から学童に多く発症します。

季節的には、春から初夏にかけて流行することが多いようです。感染力はそれほど強くなく、のどの分泌物の飛沫(ひまつ)によって、気道から主に感染します。

10~14日の潜伏期間を経て、両側のほおの発疹(はっしん)から始まるのが普通です。1~2日後には肩から腕、大ももに赤い発疹が出現し、数日後にはまだらなレース編み模様になります。かゆみを伴うことが多く、平均11日間で消えていきますが、いったん消失した発疹が日光や運動などによって再び現れてくることもあります。

医師による特別な治療を受けなくても、自然に治ります。ほおが赤くなった時は、すでに感染する時期をすぎているので、保育所や学校に行ってもかまいません。

しかし、あまりにも真っ赤なほおの時、かゆみが強くなった時、高い熱が出た時、元気がなくなってきた時なら、2~3日休ませ、医師の診察を受けたほうが無難でしょう。かゆみが強い時は、抗ヒスタミン薬が処方されます。年長児~成人で腰やひざに発生することがある関節痛に対しては、鎮痛剤が使われることがあります。

🇮🇪伝染性単核球症

主にEBウイルスの感染で起こり、15~30歳くらいに多くみられる疾患

伝染性単核球症とは、主にEB(エプスタイン・バー)ウイルスの感染で起こり、15~30歳くらいの青年期に多くみられる良性の疾患。EBウイルス感染症とも呼ばれ、アメリカではキス病とも呼ばれています。

ヘルペスウイルスの仲間であるEBウイルスはBリンパ球に感染しますが、感染Bリンパ球を排除するためにTリンパ球が増加します。サイトメガロウイルス、トキソプラズマ、またHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した場合でも、同様の症状がみられることがあります。

EBウイルスに感染する時期によって、症状の現れ方が異なります。日本人の70パーセントは2〜3歳までに初感染しますが、乳幼児期では病原菌に感染しても症状が現れない不顕性感染が多く、症状が現れても軽度です。

思春期以降に感染すると、約50パーセントが発症します。ただし、感染してもほとんどが4~6週間で、症状は自然になくなるといわれています。20歳代では90パーセント以上が抗体を持っているといわれていますが、成人になってから初感染した場合、症状が重くなります。6カ月以上症状が続く場合は、重症化している可能性があります。

EBウイルスは一度感染すると、その後は潜伏感染状態となり、終生に渡って共存します。そのため、急性感染症以外にもいろいろな疾患を引き起こすことがわかってきました。再感染はしないものの、免疫力が低下した場合に発症することもあります。

キスや飲み物の回し飲みなどによる、既感染者の唾液を介した経口感染が、主要な感染経路です。感染してから発症するまでの潜伏期間は、4~6週間といわれています。

主な症状は、発熱、頸部(けいぶ)リンパ節の腫脹(しゅちょう)、咽頭(いんとう)痛。 まず、頭痛、熱感、悪寒、発汗、食欲不振、倦怠(けんたい)感などの前駆症状が数日間続き、その後38℃以上の高熱が1~2週間続きます。発熱のないこともありますが、通常は発症から4~8日が最も高熱で、以後徐々に下がってきます。

頸部リンパ節の腫脹は、発症2週目ころから現れ、時に全身性のリンパ節腫脹もみられます。上咽頭のリンパ節腫大による鼻閉も、よく起こります。口蓋扁桃(こうがいへんとう)は発赤、腫脹し、口蓋に出血性の粘膜疹(しん)が出て咽頭痛が生じます。発疹は、抗生物質、特にペニシリン系を投与された後に現れることがしばしばあります。

肝臓や脾臓(ひぞう)が腫大することもあり、急激な腫脹のためにまれに脾臓の破裂を招くことがあります。

発熱が1週間続く場合は、内科あるいは耳鼻咽喉(いんこう)科の医師を受診し、精密検査を受けることが勧められます。症状が進行して、劇症肝炎や血球貪食(どんしょく)症候群などを併発すれば、生命の危険があります。リンパ節腫大が長引き、悪性リンパ腫と誤診されることがあるので、要注意です。 ほとんどの大人は既感染者なので、他人への伝播(でんぱ)を気にする必要はありません。

伝染性単核球症の検査と診断と治療

内科、耳鼻咽喉科の医師による診断では、血液検査を行い、白血球の増加、特に末梢(まっしょう)血中の単核球(リンパ球)の増加と、正常なリンパ球と異なった形の異型リンパ球の出現がみられることを確認します。ほとんどのケースで肝機能異常を認め、EBウイルス血清中抗体価が陽性となることなどで、総合判断します。

この伝染性単核球症に特異的にみられるポール・バンネル反応を調べる血清試験があり、これが陽性ならば診断が決められます。しかし、日本人では検査が陽性にならないものが多く、頼りになりません。

ほかのウイルス感染や悪性リンパ腫、リンパ性白血病などとの区別が、必要になります。

内科、耳鼻咽喉科の医師による治療では、抗EBウイルス薬はないため、安静と対症療法が中心です。咽頭痛がひどい場合は、アセトアミノフェンなどの消炎鎮痛薬を用います。血小板減少や肝機能障害の程度が強く、症状が長引く場合は、ステロイドホルモン剤を用いることもあります。肝機能障害には、肝庇護(ひご)剤を用いることもあります。 発疹が現れることがあるため、抗生物質、特にペニシリン系抗生物質の投与は避けます。

安静にしていれば経過は比較的良好で、1〜2週間で解熱し、リンパ節のはれも数週から数カ月で自然に消えます。

重症の場合は、血漿(けっしょう)交換療法や抗がん剤が用いられます。アシクロビル(ゾビラックス)などの抗ウイルス薬の有効性は、証明されていません。

異型リンパ球は、少数ながら数カ月残存しているケースもあります。肝臓や脾臓のはれも1カ月ほどで回復しますが、まれに脾臓破裂を起こすことがあるので、治った後も2カ月ほどは腹に圧力や衝撃がかかる運動などは避けるようにします。

また、疾患が治ったと思っても、数週間たってから肝機能障害などが悪化することがあるので、リンパ節のはれがなくなっても数週間は経過に注意し、医師の指示を受けることが大切です。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...