2022/08/04

🏴󠁧󠁢󠁳󠁣󠁴󠁿塵肺症

塵埃を長く吸入し続けて、肺に炎症が起こる疾患の総称

塵肺(じんぱい)症とは、長期に渡って吸入し続けた塵埃(じんあい)が肺に沈着し、炎症を起こす疾患の総称。多くは職業病として扱われます。

肺に吸入された塵埃は、肺胞マクロファージという細胞によって飲み込まれます。異物を飲み込んだマクロファージは、肺に炎症を起こしたり、組織を傷害する物質を放出します。このような状況が長い間続くと、肺の組織に硬い線維状の物質が蓄積され、間質性肺炎(肺線維症)という疾患をもたらします。肺は縮み、酸素の交換が十分にできなくなります。

吸入したものの種類により、結晶質シリカの場合は珪肺(けいはい)症、石炭では採炭夫塵肺症、石綿では石綿肺(アスベスト症)などと、区別して呼ばれます。鉱物などの掘削・積み下ろし、石材加工、金属研磨、陶磁器・鋳物製造、金属製錬、溶接、炭素製品製造、い草製造、トンネル建設などに従事する人々に多くみられます。

軽度の塵肺症は特有な症状はなく、無症状、無自覚です。疾患が進むと、体を動かした時の呼吸困難、たん、せき、動悸(どうき)が現れます。有害物質を吸入する職場環境が改善されない限り、疾患はゆっくり進行します。また、気管支炎、肺炎、結核、胸膜炎、肺気腫(きしゅ)、気胸、肺がんを合併しやすくなります。肺気腫や肺がんは喫煙との複合的な要素によって発生する可能性も、指摘されています。

重症になると、呼吸困難によって血液中の酸素が欠乏し、皮膚が青色になるチアノーゼがみられたり、心臓にも影響を及ぼします。

塵肺症の検査と診断と治療

塵埃を扱う職業の人などは、定期的に健康診断を受けることが、塵肺法という法律で決められています。

医師による診断では、胸部X線検査で全肺に広がる粒状影や不整陰影、塊状陰影などのさまざまな陰影が観察されます。呼吸機能検査で、肺活量や、初めの1秒間に吐き出される空気量である1秒量などが低下します。

塵肺症の根本的な治療法は、現在までのところなく、対症療法が中心です。たんがあれば去たん剤を使用することによって喀出(かくしゅつ)しやすくし、呼吸困難があれば気管支を広げる気管支拡張剤で呼吸をしやすくしたりします。

低酸素状態に陥っている場合には、在宅での酸素吸入治療を導入し、積極的に体を動かすようにします。また、結核を合併した場合には、抗結核剤を使用します。

呼吸機能が低下しないように感染防御に努めることが必要ですが、何よりも予防が大切になります。防塵マスクの着用や職場の塵埃発散の低減対策などが、予防につながります。

🇺🇾坐骨神経痛

坐骨神経が圧迫されて、臀部から太ももの裏に痛み

坐骨(ざこつ)神経痛とは、坐骨神経が圧迫されることによって、強い痛みが生じる神経痛の総称。坐骨神経痛は症状の表現であり、疾患名ではありません。

原因として最も多いのは、外傷によって腰の椎間板(ついかんばん)ヘルニアを起こし、それが坐骨神経を圧迫する場合です。発症者の年齢は、20歳代から40〜50歳代が多く、中腰になったり、急に腰を上げたり、重い物を持ち上げようとした時に、いわゆるぎっくり腰を起こして激痛に見舞われます。

そのほか、脊髄腫瘍(せきずいしゅよう)や変形性脊椎症による骨の圧迫、がんの転移、帯状疱疹(ほうしん)による神経根炎、糖尿病、アルコール中毒などによって起こることもあります。

痛みは、臀部(でんぶ)の坐骨神経根から太ももの後ろを走り、ひざから下は下肢の外側を走って、かかとに抜けるのが一般的です。痛みが激しい時には、寝返りもできず、静かに横になっている以外、方法がありません。痛みと同時に、脊椎神経根の分布に従って、痛覚のまひや下肢、ことに足首のまひも起こってきます。

持続性の激しい痛みが多く、体位を変えたり、足を曲げたりすると激痛が起こります。足の位置によって坐骨神経が引っ張られるために、圧迫や刺激を受けている神経根がさらに刺激されて、痛むのです。

足を伸ばしたまま太ももを持ち上げると激痛が起こるので、これをラセッグ兆候と呼んで、坐骨神経痛の診断に応用されています。痛みの強い場合には、知覚の鈍麻や過敏の範囲が坐骨神経の範囲より広がって、下肢全体に及んでいることもあります。

坐骨神経痛の検査と診断と治療

椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛の場合には、痛みの走り方、範囲、運動神経まひの広がり、ラセッグ兆候のほか、脊椎のX線検査、脊髄の造影法、髄液の検査などを行い、圧迫されている部位、程度を調べます。

また、変形性脊椎症の程度、骨へのがんの転移の有無なども調べ、 神経への圧迫がなければ、糖尿病ないし、ほかの中毒性末梢(まっしょう)神経炎の有無などを調べ、坐骨神経痛の原因となっている疾患の検索を行います。

坐骨神経痛の治療は、その原因となっている疾患によっても変わってきます。原因が明らかな時は、その原因を取り除くことが根本的な治療につながりますが、原因がわからない時や原因を取り除けない時は、対症療法になります。

椎間板ヘルニアによる場合には、安静にし、仰向けに寝て、下肢の牽引(けんいん)療法を行います。温熱治療としてホットパックや極超短波などが行われ、痛みやしびれを抑えるために、非ステロイド性消炎鎮痛剤の飲み薬や坐薬が使われることもあります。圧迫が高度で、知覚鈍麻などが強ければ、外科的に神経根部を圧迫しているところを除去すれば、症状は完全に治ります。

また、変形性脊椎症を合併している場合には、コルセットを着用し、再発の防止に努めます。

椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛は、数週間の安静だけでもよく治ります。この場合、できるだけ硬い布団の上で寝るようにします。腰に負担のかかるような無理な姿勢は、禁物です。

糖尿病が原因となっている場合には、糖尿病をよくコントロールするだけで、症状が改善していきます。食事療法や軽い運動を行って、体力を増強し、抵抗力を高めるようにすることが大切です。

🇺🇾ささくれ

爪の周囲の皮膚が細かく裂けたり、めくれたりする状態

ささくれとは、爪(つめ)の周囲の皮膚部分が指先の部分から細かく裂けたり、めくれたりする状態。逆むけ、ハングネイルとも呼ばれます。

ささくれができる原因の一つは、皮膚の水分が不足する乾燥。洗い物や掃除、洗濯などの家事が、指先の乾燥を招き、ささくれを引き起こします。

特に、空気が乾燥した冬の寒い日にお湯を使って洗い物をしている人は、温度差により指先が一気に乾燥しやすく、ささくれになりやすいといえます。さらに、食器を洗う時に使う洗剤には強い殺菌作用があるため、指先の皮脂が出す油分も一緒に洗い流してしまうため、乾燥してしまう原因になります。

最近では、パソコン作業でのデスクワークが原因で、ささくれを起こす人が増えています。パソコン作業を長時間続けることにより、指先に負担がかかってしまい、乾燥することがあります。同じ姿勢のままタイピングをする時間が長いため、指先まで保湿成分がゆき渡らなくなっている可能性があります。

また、血行不良もささくれの原因。冷え性の女性の特に指先が冷たいのは、血流が悪い証拠。血流が悪いと栄養素や酸素が十分にゆき届かないことが原因で、乾燥しやすくなり、ささくれもできやすくなります。

さらに、栄養バランスが悪いと、ささくれができやすくなります。爪や爪の周囲の皮膚は蛋白(たんぱく)質でできていますから、蛋白質やビタミンC、ビタミンA、カルシウムなどの栄養素が不足すると、ささくれができやすくなります。

ささくれは、無理に引きはがしてはいけません。ささくれを無理に引きはがすと、真皮が露出したり出血し、そこからばい菌が入ってしまうことがあり、ひどくなると化膿(かのう)してしまいます。

カンジダという真菌の一種に感染するとカンジダ性爪囲爪炎(そういそうえん)になり、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌、大腸菌、緑膿菌などの化膿菌に感染すると化膿性爪囲炎(ひょうそ)になります。

ささくれの対処方法

ささくれをそのままにして置くと、何かに引っ掛かったりして痛いなど、どうしても気になる時は、眉毛(まつげ)をカットするような先の細いハサミで処理するのがよいでしょう。爪の根元にある甘皮の処理をするキューティクルニッパーなどがあると便利で、できるだけささくれの根元からカットするとよいでしょう。

カットした跡が傷になっていたり、痛みを感じるようであれば、絆創膏(ばんそうこう)などで保護したほうがいいでしょう。

ささくれができないように予防するには、手を乾燥させないことが大切で、そのためにはハンドクリームを塗るのが効果的です。洗い物や掃除、洗濯をして水やお湯を使った後や、パソコン作業の合間などに、こまめにハンドクリームを塗るのがよいでしょう。

指先のマッサージで血行をよくすることも、ささくれの予防になります。小指から1本1本、マッサージをしていきます。その際には、爪の横をもみほぐすようにしてマッサージをしましょう。

また、指の根元から指先までしっかりマッサージすると、より血行がよくなります。マッサージをする際には、摩擦を避けるためにもクリームやオイルを使いましょう。

マニキュアや除光液などは指を乾燥させる原因になりますので、マニキュアを塗る前や除光液を使った際には、オイルで爪と指をマッサージするようにしましょう。爪を強くするためにも、オイルを塗ってのマッサージは必要です。また、除光液に入っているアセトンという成分は、水分や油分を取り去ってしまうもの。アセトンが入っていない除光液を選ぶとよいでしょう。

乾燥がひどかったりし、ささくれがひどい時には、まずは化粧水で水分補給をしましょう。顔のケアを同じで、まずは化粧水で水分をしっかりと浸透させて、保湿クリームを塗ります。

時には、ネイルサロンで甘皮のケアなど、爪のケアをしてもらうと、指先もきれいになります。ネイルサロンにいったからといって、マニキュアを塗らなくてもいいのです。

甘皮は必要以上にあると、水分を吸収してしまうこともあります。余分な甘皮を処理することで、爪や指先の乾燥対策にもなるのです。ハンドケアとしてハンドパックなどをしてもらうと、手がしっとりとして乾燥対策にもなります。

栄養バランスの取れた食事をしていないために、ささくれができることもありますので、蛋白質やビタミン、ミネラルなどの栄養素をしっかりと食事から取り入れるようにしましょう。

睡眠不足や酒の飲みすぎ、ストレスなどをためない生活をすることも、ささくれを作らないようにするためには必要です。また、血流が悪くなっている可能性が高いため、長時間パソコン作業をする際は適度に体を動かすなどして、体に血液を巡らせると効果的です。

🇨🇱匙状づめ

つめの甲の先端、あるいは全体の表面がへこんでいる状態

匙状(さじじょう)づめとは、つめの甲の先端、あるいは全体がスプーン状にへこむ状態。スプーンネイルとも呼ばれます。

全指のつめがスプーン状に表面がへこんでいる場合、成人では鉄欠乏性貧血の症状のことがあります。同時に、口角炎、口唇炎、赤い舌がある場合は、さらにその可能性が強いので、内科を受診する必要があります。

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することにより、赤血球の中に含まれているヘモグロビン(血色素)の産生が不十分になって、発症する貧血です。ヘモグロビンは肺から各臓器や組織に酸素を運び、不必要になった二酸化炭素を持ち帰って、肺から外に出すなど重要な働きをしていますので、ヘモグロビンの産生が不足すると、全身に運ばれる酸素の量が減少し、体が酸素不足になって貧血を起こし、めまいや、立ちくらみ、匙状づめの症状が現れたりします。体内には、鉄分がため込まれているため、すぐに鉄分がなくなってしまうということはありませんが、ため込まれている鉄分がなくなった時に症状が現れます。

また、数本のつめだけに、スプーン状に表面がへこんでいる変化がみられる場合は、局所的な原因のことが多く、クリーニング業など、酸やアルカリ、有機溶剤などに長期間、接している人に生じることがあります。

また、匙状づめは、手先に圧迫のかかるような職業の人にも多くみられます。

匙状づめの検査と診断と治療

医師による匙状づめの治療では、鉄剤を内服します。この鉄剤には、徐放性鉄剤と非徐放性鉄剤があります。徐放性鉄剤は、胃から腸にかけてゆっくりと鉄を放出して、少しずつ吸収されるため、胃粘膜への刺激は少なく、空腹時に飲むことができます。ただ、この製剤は胃酸がないと効果がないため、胃の切除を受けた人には使えません。非徐放性鉄剤は、胃を切除した人や胃酸の分泌が低下している高齢者、低酸症の人に吸収可能な薬剤です。

徐放性、非徐放性ともに主な副作用として、悪心、嘔吐(おうと)、食欲不振、腹痛、下痢、便秘などの胃腸障害を起こすことがあります。鉄剤を服用すると便が黒くなることがありますが、心配はいりません。貧血が改善されたからといって、医師の指示なしに服用をやめてはいけません。赤血球中のヘモグロビンの量が正常になっても、その後2〜3カ月は服用を継続する必要があります。

匙状づめは、生活習慣の改善によって予防することができます。まず、無理なダイエットや偏食、不規則な食事、夜更かしを改め、鉄分の多い食品を積極的に摂取します。仕事上、どうしても薬品を使用しなければいけないという人にとっても、鉄分を意識的に摂取することはお勧め。また、指を保護するアイテムを使用するのもお勧めです。

成人男性は鉄分を1日約12〜15mg、成人女性は15〜20mgの摂取を心掛けたいもの。女性は月経や妊娠、授乳のため鉄分が失われやすいので、男性より多くを必要とします。鉄分を多く含む食品は、大豆、大豆製品、レバー、ひじき、もずく、のり、あさり、かき、ほうれん草、小松菜、切干大根、いわし丸干し、牛もも肉、まぐろ赤身など。

蛋白(たんぱく)質を摂取することも、大切です。ヘモグロビンは鉄と蛋白質でできているので、肉や魚、豆腐、卵などを適量食べます。また、ビタミンCは鉄の吸収を促進させる働きがあるので、野菜や果物なども食べるようにします。緑茶や紅茶、コーヒーに含まれるタンニンを鉄分と一緒に摂取すると、鉄分の吸収が悪くなりますので、食事とは時間をずらして飲むといいでしょう。

🇨🇱サットン白斑

黒子を中心にして、周囲の皮膚に白いまだらが円形に生じる疾患

サットン白斑(はくはん)とは、色素性母斑の一番小さい型である黒子(ほくろ)を中心にして、周囲の皮膚に白斑が円形に生じる疾患。サットン母斑、遠心性後天性白斑とも呼ばれます。

小児や青年の胴体や顔、頸部(けいぶ)などにみられ、外に向けてだんだん大きくなる傾向があります。その半数くらいに、全身どこにでも突然、皮膚の一部の色が抜けて、その部分が白斑、すなわち白いまだらとなる尋常性白斑の合併がみられます。

サットン白斑は徐々に広がりますが、それに伴って中心にある黒子は縮小するようになり、最終的には消えます。中心の黒子が消失すると、周囲の白斑も消失していく傾向があります。

サットン白斑は、中心にある色素性母斑である黒子や、皮膚の色素であるメラニンを作るメラノサイト(メラニン細胞、メラニン形成細胞、色素細胞)に対する自己免疫反応が原因といわれています。この正常でない免疫反応が、中心にある黒子に対して生じ、次いで、黒子の周囲の正常な皮膚のメラノサイトに対しても生じると、メラノサイトを変性させたり、消失させるために皮膚の色が抜けて、白いまだらが円形に生じることになります。

なお、中心に黒子がないのに、腫瘍(しゅよう)や母斑の周囲に同じような白斑ができることをサットン現象といいます。最も危険なのは悪性黒色腫(メラノーマ)で、しばしばみられます。血管腫、皮膚線維腫、表皮母斑、青色母斑、老人性疣贅(ゆうぜい)(いぼ)などでも、このサットン現象が起こることがあります。

サットン白斑の検査と診断と治療

皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による診断では、視診で判断します。皮膚をほんの少し切り取って病理組織検査を行うと、黒子の周囲の皮膚のメラノサイトの消失、あるいは変性が見られ、その周りにはマクロファージおよびリンパ球の浸潤が見られます。

皮膚科、ないし皮膚泌尿器科の医師による治療では、中心の黒子が消失すると周囲の白斑も軽快していくため、治療として中央の色素性母斑である黒子だけを切除する場合もあります。初期の段階で切除すると、白斑は自然に消えて治癒します。

また、特に支障がない場合、経過観察になることもあります。基本的には、尋常性白斑と同様の治療方法がとられます。

尋常性白斑と同様の治療としては、外用剤として副腎(ふくじん)皮質ステロイド軟こうやビタミンD3軟こうなどを使用する治療と、紫外線照射療法(PUVA療法)が一般的です。外用剤の皮膚への塗布は、内服薬に比べて全身に及ぼす副作用が少なく、免疫の働きを調節する作用があります。

紫外線照射療法(PUVA療法)は、オクソラレンという薬を10〜30分前に塗布、ないし2時間前に内服し、その後、長波長紫外線を照射する方法です。紫外線の働きで残っている色素細胞が活発になり、色素を作るようになるのを期待します。紫外線に当たった後は、せっけんで薬をよく洗い落とします。近年では、中波長紫外線(UVB)のうち、治療に有効な波長のみを全身に照射するナローバンドUVB療法も行われています。

治療の効果があると、白斑の中に点状の色素斑ができて徐々に拡大し、島状の色素斑になります。続いて、白斑の周囲にも色素が増強すると、徐々に周囲の肌色になじんできます。

🇧🇴里吉病

体のあちこちの筋肉が縮んで、けいれんを起こし、激しい痛みを生じる疾患

里吉(さとよし)病とは、全身の筋肉に、こむら返りが起きてけいれんし、激しい痛みを生じる疾患。全身こむら返り病とも呼ばれます。

1963年に、神経内科の里吉榮二郎・医師によって初めて報告された原因不明の疾患で、神経の伝わりが障害される自己免疫疾患の一種、あるいは経口摂取した栄養分の消化吸収が障害される吸収不良症候群の一種と考えられています。

大人になってから発症することもありますが、多くの場合10歳前後から発症し、進行性に症状が悪化します。

筋肉のけいれんのほかに、脱毛が特徴でほぼ全例にみられ、下痢も多くみられます。

これらの3兆候のほかに、骨や関節の変形、発育障害、内分泌機能の低下などもよくみられる症状で、10歳代の女性ではホルモンの異常を伴いやすく無月経がみられます。

筋肉のけいれんは最初、腕、太ももなどの一部にみられるだけですが、次第に全身に及び、頸筋(けいきん)から咬筋(こうきん)、側頭筋、舌筋にまで、けいれんがみられることがあります。

いわゆるこむら返りで、 ふくらはぎの筋肉がつるという状態と同じような現象が数秒から数分にわたって続き、1日に数回から、1日中全身のあちこちの筋肉に起きている状態まで、さまざまな程度に出現します。

予後不良で、10年前後から20〜30年にわたって、緩やかに進行し、呼吸まひ、栄養障害で死亡します。

里吉病の検査と診断と治療

内科、神経内科、内分泌代謝科、整形外科などの医師による診断では、全身の筋肉のけいれんや、脱毛、下痢、あるいは月経の有無で判断します。

内科、神経内科などの医師による治療では、疾患そのものを治す治療法は確立されていないため、症状を和らげる対症療法を行います 。

対症療法としては、筋弛緩(しかん)剤のダントロレンナトリウム(商品名ダントリウム)の内服療法や、ステロイド系抗炎剤のプレドニゾロン(商品名プレドニン)の内服療法、免疫抑制剤のタクロリムス(商品名プログラフ、グラセプター)とステロイド剤の併用療法、ステロイド剤を大量に点滴するステロイドパルス療法などが試みられており、筋肉のけいれん、脱毛、下痢の症状が多少軽快するのみです。

🇵🇾挫滅症候群

四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる全身障害

挫滅(ざめつ)症候群とは、体の一部が長時間にわたって何かに挟まれるなどして、四肢の筋肉に持続的な圧迫が加えられ、その圧迫から解放された後に起こる各種の全身障害。クラッシュ症候群とも呼ばれます。

地震や台風、竜巻などの災害時には、倒壊した建物や家具の下敷きになって多発します。災害時以外では、交通事故などで何かに挟まれ、救出までに時間を要した場合にも発症します。まれに、特定の筋肉を過度に酷使する運動を行うことにより発症する場合もあります。

体の一部、特に四肢が長時間にわたって持続的な圧迫を受けると、筋肉が損傷を受け、組織の一部が壊死(えし)します。その後、圧迫された状況から解放されると、壊死した筋細胞からカリウム、ミオグロビン、乳酸などが血液中に大量に漏出します。

そのため、挫滅症候群を発症すると意識の混濁、唇や指先が紫色になるチアノーゼ、失禁などの症状がみられるほか、高カリウム血症、ミオグロビン血症、凝固障害などの全身的な異常を示します。高カリウム血症により心室細動、心停止が引き起こされたり、ミオグロビン血症により腎臓(じんぞう)の尿細管が壊死し、急性腎不全が引き起こされたりします。

圧迫から解放された直後は、意識があるために軽傷とみなされ、その後突然、容体が悪化して重篤となり、死に至ることも少なくありません。

両下肢に起こった挫滅症候群では、損傷部にはれと点状出血を生じ、両下肢はまひします。下肢の知覚障害、運動障害もみられますが、少なくとも多少の左右差があります。

挫滅症候群の検査と診断と治療

整形外科、形成外科の医師による診断では、受傷した時の状況や、損傷部のはれ、知覚まひや運動まひから判断可能ですが、導尿により赤褐色のミオグロビン尿を認めれば確定できます。

血液検査では、血液が酸性になる代謝性アシドーシス、血液濃縮、高カリウム血症、低カルシウム血症、高クレアチンキナーゼ血症、凝固障害などの異常が現れます。

整形外科、形成外科の医師による治療では、高カリウム血症、代謝性アシドーシスを改善するために、炭酸ナトリウム、グルコン酸カルシウムを投与します。高度で持続する高カリウム血症には、緊急の血液透析を行います。

損傷した四肢のはれは時間がたつとともに進行しますので、筋肉の圧力が高ければ、圧力を抜くための筋膜切開を行います。

受傷から救出までに時間がかかり、治療が遅れた場合は、軽症でも腎不全が起こり、肺水腫(すいしゅ)を合併することもあるため、人工呼吸器による呼吸管理と人工腎臓による血液浄化を行います。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...